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メネラーオス
PLATE — ΜΕΝΈΛΑΟΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΜΕΝΈΛΑΟΣ

メネラーオス

メネラオス · メネラウス · Menelaos

Giacomo Brogi PUBLIC DOMAIN

スパルタ王でヘレネーの夫、アガメムノーンの弟。妻を奪われたことがトロイア戦争の発端となった。兄ほどの権勢も知略も持たない英雄として描かれ、戦後は八年をかけて帰国した。

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解説

概要

メネラーオス(Μενέλαος / Menelāos)は、スパルタ王でヘレネーの夫、ミュケーナイ王アガメムノーンの弟である。妻をヘレネーごと奪われたことがトロイア戦争の発端となり、ギリシア連合軍の副将として戦った。

英雄としての彼は、兄アガメムノーンほどの権勢もオデュッセウスほどの知略も持たない。『イーリアス』が繰り返し彼に与えるのは「軍神の寵児」という定型句だが、実際の場面では味方に助けられ、決闘は神の介入で中断され、最後は妻を殺せずに連れ帰る。強くも賢くもない主人公が最終的に望みを回復するという点で、叙事詩の英雄像のなかでは特異な位置にある。

神話・物語

ヘレネーの求婚者が各地から集まったとき、彼女の父テュンダレオースは誰を選んでも他の恨みを買うことを恐れた。オデュッセウスの献策により、選ばれた者が困難に陥れば全員で助けるという誓いが立てられ、そのうえで彼が夫に選ばれてスパルタの王位を継ぐ。この誓いが、のちにギリシア全土を戦争へ引き出す仕掛けになった。

トロイアの王子パリスが妻を連れて去ると、彼は兄に訴え、誓いを盾に諸将が召集される。『イーリアス』第3巻では、戦争の原因である二人が一騎討ちで決着をつけることになった。彼は明らかに優勢で、兜の緒を掴んで引きずり倒すところまで追い込むが、アプロディーテーが緒を切り、パリスを霧に包んで運び去ってしまう。判定は彼の勝ちとされたが、直後に休戦は破られ、戦争は続いた。

杯の外側に描かれた赤絵。武装した戦士が逃げる戦士を追い、両脇に女神が立つ
パリスを追うメネラーオス、左にアプロディーテー、右にアルテミス(ドゥーリス画・カリアデス作、アッティカ赤絵式キュリクス外面、前490〜前460年頃、カプア出土、ルーヴル美術館 G115)Marie-Lan Nguyen / パブリックドメイン — Wikimedia Commons

木馬に潜んだ一人として市内に入った彼は、パリスの死後にヘレネーの夫となっていたデーイポボスを館で討つ。続けて妻も殺そうとしたが、果たせずに連れ帰った。剣を落とす場面は古代美術が繰り返し描いた主題である。

帰路は長い。神々への供物を怠ったために嵐でエジプトへ流され、八年を要して帰国する。『オデュッセイア』第4巻でスパルタを訪れたテーレマコスに彼が語るのは、パロス島で海神プローテウスを組み伏せて聞き出した話である。ゼウスの婿である彼は死なず、ヘレネーとともにエーリュシオンで暮らすと予言された。

図像と象徴

古代美術における彼の場面は二つに集中する。パリスとの決闘と、剣を手にヘレネーに迫りながら討てずにいる姿である。後者では、彼女が衣をはだけ、彼の手から剣が落ちる構図が定型となった。勝者でありながら剣を取り落とす英雄という図像は、他の将には見られない。

本ページの主画像は、ヴァチカン美術館が所蔵するローマ期の大理石胸像である。パトロクロスの遺体を支える群像——いわゆるパスクィーノ群像——の頭部の型を引くもので、悲嘆の表情を残す。

兜をかぶった髭の男性が、ぐったりした裸の若者の体を抱え支える大理石の群像
パトロクロスの遺体を支えるメネラーオスとされる「パスクィーノ群像」(前3世紀のヘレニズム期原作に基づくフラウィウス朝期ローマの模刻、近代の補修あり、フィレンツェ、ロッジア・デイ・ランツィ)Marie-Lan Nguyen / CC BY 2.5 — Wikimedia Commons

系譜と関係

父はミュケーナイ王アトレウス、母はアエロペー。兄はアガメムノーン。妻ヘレネーとの娘ヘルミオネー。アトレウス家の一員として、タンタロスとペロプスに始まる呪われた血筋に属する。

文化的足跡

スパルタのテラプネには「メネライオン」と呼ばれる聖域があり、前7世紀以降、彼とヘレネーが夫婦の神格として祀られていた。発掘によって奉納品と碑文が確認されており、叙事詩の英雄が実際の祭祀を持っていた例にあたる。

木々と草地の丘の上に残る石積みの基壇遺構。背景に雪を頂く山並みが見える
スパルタ近郊テラプネのメネライオン(メネラーオスとヘレネーの聖域)の遺構、背後はタユゲトス山George E. Koronaios / CC BY-SA 4.0 — Wikimedia Commons

なお、ヘレネーの祭祀のほうが古い層に属するとみる説が有力で、その場合、彼は女神の配偶者として後から加えられたことになる。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

◆
アーエロペー
母
★
ΜΕΝΈΛΑΟΣ
メネラーオス
ギリシア神話
収載データなし
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資料

Wikidata
Q171839 — 骨格データの出典
Commons
Menelaus — 図像カテゴリ