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テュンダレオース
PLATE — ΤΥΝΔΆΡΕΩΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΤΥΝΔΆΡΕΩΣ

テュンダレオース

テュンダレオス · ティンダリオス · Tyndareos

ArchaiOptix (2023) CC BY-SA 4.0

スパルタ王。レーダーの夫で、ヘレネーとディオスクーロイの人間の側の父にあたる。求婚者たちに誓いを立てさせた王として知られる。

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解説

概要

テュンダレオース(Τυνδάρεως / Tyndareus)は、スパルタ(ラケダイモーン)の王である。レーダーの夫であり、ヘレネーディオスクーロイの、人間の側の父にあたる。双子の古い呼称ティンダリダイ(テュンダレオースの子ら)はこの王の名に由来し、その名がスパルタの碑文に残る。

自ら武勇を示す場面はほとんどないが、娘の結婚をめぐって取り決めた一つの誓いによって、トロイア戦争の枠組みそのものを用意した人物である。

神話・物語

出自は錯綜している。アポロドーロスは三つの説を並べる。ステーシコロスに従えばラケダイモーン王ペリエーレースとゴルゴポネーの子で、イーカリオス、アパレウス、レウキッポスと兄弟。別の説ではペリエーレースの子オイバロスと水のニュンペーのバテイアの子で、ヒッポコオーン、イーカリオスと兄弟。もう一つはアイオロスの子ペリエーレースの息子とするものである。系譜が三通りあること自体、この王がスパルタ王家の起点として後から整えられた人物であることをうかがわせる。

若いころ、テュンダレオースはイーカリオスとともにヒッポコオーンとその子らによってラコーニアを追われ、アイトーリアのテスティオスのもとへ亡命した。テスティオスの戦争を助けた功で領地を与えられ、その娘レーダーを妻とする。のちにヘーラクレースがヒッポコオーンを滅ぼしたことで、テュンダレオースだけがラコーニアへ帰り、王位を得た。

最も重い場面は、娘ヘレネーの婚礼をめぐるものである。ギリシア全土から集まった求婚者のうち一人を選べば、残りが怒って争いになる——王はそれを恐れた。知略に長けたオデュッセウスは、イーカリオスの娘ペーネロペーとの結婚を取り持つことを条件に策を授ける。選ばれた婿が誰かに害を受けたときは、他の求婚者全員が力を合わせて助けると誓わせよ、というのである。誓いが立てられたのち、メネラーオスが婿に選ばれた。

この誓いが、のちにヘレネーがパリスに連れ去られたとき、ギリシア全土を動員する法的な根拠となる。トロイア戦争は、王の一つの用心から始まったことになる。

なお、アプロディーテーが犠牲を怠ったこの王に怒り、その娘たちを不貞の女にしたとする伝えがある。ヘレネーとクリュタイムネーストラーがともに夫を裏切ることの説明として、後代に付されたものと考えられる。

図像と象徴

テュンダレオースを名指した古代の作例は少ない。本項に掲げたのは、前420年から前400年頃のアッティカ赤絵式クラーテール(カドモスの絵師、ウィーン美術史美術館 AS IV 869)で、笏を執った王の前で、レーダーが祭壇に置かれた卵を驚いて見つめ、柱のもとに双子が控えている。妻が神の子を産む場面に、夫が笏を持って立ち会うという構図である。

自らの物語を持たない王が、家族の場面のなかでのみ描かれる。ギリシア美術における王の扱いとしては典型的なものといえる。

系譜と関係

父はペリエーレースともオイバロスとも伝えられる。兄弟にイーカリオス、アパレウス、レウキッポス、ヒッポコオーン。妻レーダー。子はヘレネー、クリュタイムネーストラー、カストール、ポリュデウケース、ティーマンドラー、ピューロノエーとされるが、ヘーシオドス『名婦列伝』はテュンダレオースの子をクリュタイムネーストラー、ティーマンドラー、ピューロノエーの三人に限り、双子とヘレネーをゼウスの子とする。兄弟アパレウスの子イーダースリュンケウス、兄弟レウキッポスの娘レウキッピデスは、いずれもディオスクーロイの物語の相手役にあたる。一族の内輪の争いが、双子の破局を招く構図になっている。

文化的足跡

エウリーピデース『オレステース』は、老いたテュンダレオースを登場させ、母を殺したオレステースを厳しく糾弾させる。血の復讐を法によって断つべきだと説くこの老人の演説は、前5世紀アテーナイの法思想を映したものとして読まれてきた。娘の婚姻に誓いを課した王が、晩年には復讐の連鎖を法で止めよと語る——作者がこの人物に与えた一貫性である。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q192946 — 骨格データの出典
Commons
Tyndareus — 図像カテゴリ