ラサ
ラサ · ラサエ · Lasa
エトルリアの翼を持つ女性の下級神格の一群。裸あるいは半裸で巻物や香油瓶を持ち、愛の女神トゥランに付き従う姿で青銅鏡に多数描かれる。同時に墓の壁画にも現れ、愛と死が近い領域にあることを示す。
解説
概要
ラサ(複数形ラサエ)は、エトルリアの宗教における女性の下級神格の一群である。
固有名を持つ個体と、単に「ラサ」と記される者がある。ラサ・ヴェクヴィア、ラサ・シタミカ、ラサ・ラケウナといった名が知られる。
姿
翼を持つ若い女。 裸あるいは半裸で、翼を持ち、装身具をつけた若い女として描かれる。
持物。 巻物、香油瓶、鏡、花冠を持つ。
トゥランの侍女。 愛の女神トゥランに付き従う姿で、青銅鏡に多数描かれる。
職能
運命。 ラサ・ヴェクヴィアは、ウェゴイア——予言の書を著したとされるニュンペー——と同一視される。
巻物を持つ姿は、運命を記す者であることを示すとされる。
墓。 墓の壁画にも現れる。死者を導く、あるいは見送る役を持つとみられる。
愛と死。 愛の女神に従い、同時に墓に現れる。エトルリアにおいて、愛と死は近い領域にある。
ローマのラールとの関係
「ラサ」の名は、ローマのラレースと関連づけられてきた。
語の類似。 「ラサ」と「ラール」の音が近い。
確証はない。 ただし両者の職能は異なる。ラレースは家と土地の守護霊であり、ラサは女性の従神である。
語源関係は確定していない。
図像と象徴
固有の図像は多いが、本サイトは主画像を掲げない。
エトルリアの下級神格。 ラサのほか、ウァント(死の女神)、クルス(門の女神)など、翼を持つ女性の神格がエトルリアには多い。
ギリシアのニーケーの図像の影響を受けたとみられるが、その職能は独自である。
関わる神格・伝承
トゥランに従う。ウェゴイアと同一視される個体がある。ウァント、クルスと同じ翼ある女性の神格の系列。
文化的足跡
エトルリアの青銅鏡において、ラサは最も頻繁に描かれる存在の一つである。