カウシキー
カウシキー · カーリカー · Kaushiki
パールヴァティーの身体の鞘から現れた女神で、名は「鞘から出た者」の意。『デーヴィー・マーハートミヤ』でアスラの兄弟シュンバとニシュンバを討つ。後代の伝えでは、パールヴァティーが脱いだ黒い皮から生まれたとされる。
解説
概要
カウシキー(Kauśikī)は、ヒンドゥー教の女神で、パールヴァティーの身体の鞘(コーシャ)から現れたことからその名をもつ。女神の聖典『デーヴィー・マーハートミヤ』の第三の物語で、アスラの兄弟シュンバとニシュンバを討つ女神であり、アンビカー、チャンディカーとも呼ばれる。ドゥルガーの一つの姿とされる。
神話・物語
『デーヴィー・マーハートミヤ』第5章によれば、シュンバとニシュンバに天界を奪われた神々が、ヒマラヤで女神を讃えていると、ガンジス河に水浴に来たパールヴァティーの身体の鞘から、吉祥の女神が現れた。これがカウシキーである。女神が抜け出たのち、パールヴァティーは黒くなり、カーリカーと呼ばれてヒマラヤにとどまった。
後代の『マツヤ・プラーナ』などでは、筋が逆になる。シヴァに黒い肌をからかわれたパールヴァティーが苦行して黒い皮を脱ぐと、その皮から生まれた女神がカウシキーとなってヴィンディヤ山に住み、パールヴァティー自身は金色に輝いてガウリー(「白い女」)と呼ばれた。
シュンバとニシュンバはカウシキーの美しさを聞いて妻に求めた。女神は、戦いで自分を負かした者と結婚すると答える。怒った女神の額からはカーリーが現れて将軍チャンダとムンダを討ち、チャームンダーの名を得た。神々の身体からはそれぞれの力が女神の姿をとって現れ、七母神として戦いに加わる。血の一滴ごとに分身を生むラクタビージャは、カーリーがその血を飲み尽くして倒された。最後にシュンバが、他の女神の力を借りていると罵ると、女神は諸女神を自らの身体に取り込み、自分ひとりしかいないと告げて、シュンバを討ち果たした。
図像と象徴
獅子に乗り多くの腕に武器を持つ姿で表される。主画像は、『デーヴィー・マーハートミヤ』の写本に描かれた「カウシキーの出現」の場面(ロサンゼルス郡立美術館蔵)である。
系譜と関係
パールヴァティーから現れ、カーリー、チャームンダー、七母神を従える。ヴィンディヤ山の女神ヴィンディヤヴァーシニーと同一視される。
文化的足跡
『デーヴィー・マーハートミヤ』は、ナヴァラートリの祭で朗誦される。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。