マヤウェル
マヤウェル · マヤウエル · Mayahuel
リュウゼツランを神格化したアステカの女神。ケツァルコアトルに天から連れ出されたが祖母の星の魔女に裂かれ、その骨を埋めた場所から最初のマゲイが生えた。四百の乳房で酔いの神々を養う。夫は発酵の神パテカトル。
解説
概要
マヤウェル(Mayāhuel)は、アステカなど中央メキシコの諸文化で、リュウゼツラン(マゲイ)を神格化した女神である。マゲイの樹液から造る酒プルケの女神でもあり、豊穣と母性、多産と滋養の観念と結びつく。
神話・物語
16世紀の『メキシコの歴史』(Histoyre du Mechique)が伝える話では、ケツァルコアトルは、人に喜びを与えるものを求めて天に昇り、ツィツィミトル(星の魔女)に守られて眠るマヤウェルを見つけた。
ケツァルコアトルは彼女を目覚めさせ、ともに地上へ降りた。二人は一本の木となり、二つに分かれた枝として絡み合った。
祖母のツィツィミトルが目覚めて孫の不在に気づき、他のツィツィミメを率いて追った。木を見つけると、マヤウェルの枝を裂き、その肉を魔女たちに分け与えて食わせた。
ケツァルコアトルの枝は残り、彼はもとの姿に戻ってマヤウェルの骨を集め、これを埋めた。そこから最初のマゲイが生えたという。
マゲイの樹液を発酵させた酒がプルケである。アステカにおいて、プルケは儀礼の酒であり、日常の飲用は厳しく制限されていた。
マヤウェルは四百の乳房を持ち、そこから四百の子——センツォン・トトチティン(四百の兎)——を養うとされた。この四百の兎が、酔いのさまざまな段階を司る神々である。夫は、樹液を酒に変える根を見出したとされるパテカトルである。
図像と象徴
マゲイの株の上に座り、あるいはマゲイから身を起こす女として描かれ、乳房を露わにする姿が多い。『ボルボニクス絵文書』では、占いの暦トナルポワリの第8の13日間(「一の草」に始まるトレセーナ)の守護神として描かれ、日の記号「兎」の守護神ともされる。本サイトの主画像は、マヤウェルを描いた図である。
系譜と関係
夫はパテカトル、子はセンツォン・トトチティン。ケツァルコアトルに連れ出された。
文化的足跡
プルケは今日もメキシコで飲まれており、その起源譚としてマヤウェルの物語が語られる。
なおメソアメリカの先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。