エヴニシエン
エヴニシアン · エフニシエン · Efnisien
中世ウェールズ『マビノギ四枝』第二枝の破壊者。婚礼への遺恨から馬を傷つけ、甥を火に投じ、最後は再生の大釜を内から破って死んだ。
解説
概要
エヴニシエン(Efnysien fab Euroswydd)は、中世ウェールズのマビノギオン所収『マビノギ四枝』第二枝に登場する人物である。エウロスウィズとペナルズンの子で、ニシエンの双子の兄弟、ベンディゲイドヴラン・マナウィダン・ブランウェンの異父兄弟にあたる。
物語はこの双子を正確に裏返しの対として紹介する。ニシエンは、たとえ全島の軍勢が敵味方に分かれていても、両者を和解させることができる。エヴニシエンは、この上なく仲のよい二人の兄弟のあいだにさえ争いを起こすことができる——第二枝の惨劇は、ほぼすべてこの一人の男から生じている。
神話・物語
アイルランド王マソルーフとブランウェンの婚礼が催されているあいだ、彼は厩に見知らぬ馬を見つけた。妹が自分の許しを得ずに嫁がされたと知って激怒し、アイルランドの馬を残らず傷つける。唇を歯茎まで、耳を頭蓋まで、瞼を眼球まで、尾を尻まで切り落とした。ベンディゲイドヴランは新しい馬と宝、そして死者を蘇らせる大釜を贈って償い、婚礼は成った。しかしこの一件がアイルランド側にくすぶり続け、ブランウェンの虐待と、やがて両島の戦争を招く。
戦の直前、和平を装って建てられた大きな館を検分したのも彼である。柱に吊るされた百の袋を怪しみ、一つずつ探って中の兵の頭蓋を握り潰していった。何が入っているのかと尋ねられるたびに小麦粉だと答えられ、そのたびに骨の砕ける音を確かめた。策は未然に潰えた。
ところが続く宴の席で、彼は再び侮辱を感じ取る。甥グウェルン——ブランウェンの子であり、この日アイルランドの王位を約されていた——を火に投げ入れた。戦が始まり、アイルランド側は大釜で死者を蘇らせて優勢に立つ。自らのしたことを悔いたエヴニシエンは、アイルランド人の死体にまぎれて釜へ投げ込ませ、内側から四方へ身を張った。釜は四つに割れ、彼の心臓もまた裂けた。
図像と象徴
主画像は、ウェールズの画家トマス・プリザーチが1906年に描いた挿絵で、割れる大釜を内から押し破る場面を捉えている。左下に画家の署名がある。中世の図像は伝わらない。
物語が彼に与えるのは持物ではなく行為の型である。馬、袋、火、そして大釜——いずれも他人が用意した器物を壊すことで働きかける。特に大釜は、彼が招いた災いの道具であり、最後に彼が壊すものでもある。破壊者が最後に破壊によって贖うという構図を、第二枝はこの一点に集約している。
系譜と関係
父はエウロスウィズ、母はペナルズン、双子の弟はニシエン。母を同じくする異父兄姉にベンディゲイドヴラン、マナウィダン、ブランウェン。
ブリテンの三題詩は、スィールをブリテン島の三人の高貴な囚人の一人に数え、エウロスウィズの手に囚われたとする。ペナルズンの下の子らがどのように生まれたかをめぐる、失われた伝承の名残とみられている。エヴニシエンが「スィールの子ら」の輪の外にいることへの執着は、この出自と無関係ではあるまい。
研究者はしばしば彼を、アイルランドのブリクリウ・ネヴサンガや北欧のロキと並べる。ただし両者が言葉と策で場を乱すのに対し、エヴニシエンの手段は一貫して身体的な破壊である。
文化的足跡
四枝の登場人物のうち、近代の批評が最も多くの言葉を費やしてきたのがこの人物である。ジェフリー・ガンツは、彼を第二枝を統べる力と呼び、不安と嫉妬、残忍と加虐、機知と才覚、悔恨と自己犠牲を一身に負った人物と評した。ウィル・パーカーは、その怒りが計算されたものであり、社会の紐帯の弱点を正確に狙って加えられていると読む。一方でニコライ・トルストイは、気難しくはあれ仲間のために身を捧げた勇士とみなし、プロインシャス・マク・カナは非合理な悪意そのものとみる。同じ人物についてこれほど評価が割れる例は、中世ウェールズ文学に多くない。