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PLATE — BENDIGEIDFRAN
CELTAE · ケルト神話
BENDIGEIDFRAN

ベンディゲイドヴラン

ベンディゲイドブラン · ブラン · ブラーン

中世ウェールズ『マビノギ四枝』第二枝のブリテンの王。海を歩いて渡る巨人で、討たれたのち、語り続ける首としてなお国を守った。

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解説

概要

ベンディゲイドヴラン(Bendigeidfran、あるいはブラーン・ヴェンディガイド、「祝福されたブラン」)は、中世ウェールズのマビノギオン所収『マビノギ四枝』第二枝に登場するブリテンの王である。海を歩いて渡るほどの巨人として描かれる。ブラン(Brân)はウェールズ語で烏を意味する。

スィール(Llŷr)とペナルズンの子で、ブランウェンの兄、マナウィダンの兄にあたる。ブリテンの三題詩にも名が現れ、その埋められた首をめぐる伝えは、四枝のなかでも際立って強い印象を残してきた。

神話・物語

第二枝は、王がハーレフの岩場に坐して海を眺める場面から始まる。アイルランド王マソルーフが十三隻の船で現れ、妹ブランウェンとの婚姻による同盟を申し入れた。王はこれを受ける。ところが婚礼の宴の最中、異父弟エヴニシエンが、自分に断りがなかったことに激怒してアイルランドの馬を残らず傷つけた。ベンディゲイドヴランは償いとして新しい馬と宝、そして死者を蘇らせる大釜を贈る。ただし蘇った者は口をきけない。マソルーフは満足してブランウェンとともに帰国した。

アイルランドで妹が虐げられていると知った王は、百五十四のカントレヴから軍を集めて海を渡る。船で渡れぬ大きさの彼は自ら歩いて渡り、船で越えられぬ川には自らの体を橋として横たえた。「首領たらんとする者は橋となれ」——このときの言葉として伝えられる。

アイルランド側は和平を装い、王が入れるほどの大きな館を建てた。しかし柱には小麦粉と偽って武装した兵を入れた百の袋が吊るされていた。策を疑ったエヴニシエンが袋のなかの兵を一人ずつ握り殺し、続く宴の席では、侮辱を受けたと感じて甥グウェルンを火に投げ入れる。戦が始まった。アイルランド側が大釜で死者を蘇らせるのを見たエヴニシエンは、死体にまぎれて釜に投げ込ませ、内から押し破って自らも死んだ。

生き残ったのはわずか七人。マナウィダン、タリエシン、そしてプリデリらである。毒の槍に足を貫かれたベンディゲイドヴランは、自らの首を切り落としてブリテンへ持ち帰るよう命じた。七人はハーレフで七年、なお語り続けるその首にもてなされ、次いでグワレスの島で八十年を、時の流れを感じることなく過ごす。ヘイリン・ヴァブ・グウィンがコーンウォールに面した扉を開けたとき、記憶がいっせいに戻った。彼らは沈黙した首をロンドンの白い丘(グウィンヴリン)へ運び、外敵の侵入を防ぐようフランスの方角へ向けて埋めた。

図像と象徴

中世の図像は伝わらず、当サイトも主画像を掲げない。ハーレフ城の下には、イヴォア・ロバーツ=ジョーンズによる1984年のブロンズ像「二人の王」があり、王が甥グウェルンの亡骸を抱えて歩む姿を表しているが、これは現代の造形である。

物語が与える標識は三つある。海を歩いて渡る体躯、死者を蘇らせる大釜、そして語り続ける首である。大釜は第二枝で贈り物として渡り、災いを増幅し、最後に内側から壊される。ケルト圏の伝承に繰り返し現れる再生の釜の主題を、ここでは戦の道具として描いている点が特徴的である。

埋められた首については、古代ケルトの首級崇拝——首を魂の座とみる観念——との連続を指摘する研究が多い。首が語り、もてなし、埋められてなお国土を守るという展開は、この観念を物語として組み上げたものと読まれてきた。ただし第二枝の成立は11世紀以降であり、鉄器時代の慣習との距離は大きい。

系譜と関係

父はスィール、母はペナルズン。同母の弟妹にマナウィダンとブランウェン、異父の弟にニシエンとエヴニシエン。ブランウェンの子グウェルンは甥にあたる。彼の死後、ブリテンの王位は従弟カスワッサンに簒奪された。

海と詩の神とみる説明が流布しているが、第二枝の本文に神としての記述はなく、彼は一貫してブリテンの王として描かれる。名が烏を意味することからアイルランドの烏の女神たちと結びつける議論もあるが、語の一致以上の根拠を欠く。前3世紀にバルカン半島へ侵攻したガリア人の族長ブレンヌスに同定する説も古くからあるが、推測の域を出ない。

文化的足跡

ロンドン塔の烏は、この王の首が埋められたという伝えと結びつけて語られることが多い。ただし烏を塔に飼う習慣が記録に現れるのは19世紀のことで、中世に遡る証拠はない。ブラン(烏)という名からの連想が近代に育てたものと考えるのが妥当である。第二枝は四枝のなかで最も戦の悲惨を描いた一篇であり、両島の全面戦争が一人の男の憤りから始まり、双方の破滅で終わるという構成は、後世のウェールズ文学でくり返し参照されてきた。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q598810 — 骨格データの出典