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カストゥルとプルトゥケ
PLATE — KASTUR / PULTUCE
ETRUSCAN · エトルリア神話
KASTUR / PULTUCE

カストゥルとプルトゥケ

カストゥル · プルトゥケ · プルトゥケー

Sailko (2017) CC BY-SA 4.0

エトルリアの双子神。ギリシアのディオスクーロイに対応し、主神ティニアの子として「ティンの子ら」と総称された。青銅鏡の背面に繰り返し表される。

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解説

概要

カストゥル(Kastur)とプルトゥケ(Pultuce)は、エトルリアの双子神である。ギリシアのディオスクーロイに対応し、まとめて「ティンの子ら」(tinas cliniiaras)と呼ばれた。ティンすなわちティニアは、ゼウスに相当するエトルリアの主神である。

名はギリシア語のカストールとポリュデウケースを写したものだが、エトルリア語の音韻に従って形を変えている。プルトゥケはポリュデウケースの語頭の音節が落ちた形で、ローマのポッルクス(Pollux)もこれと同じ経路をたどった可能性が指摘されている。ギリシアからローマへ直接ではなく、エトルリアを経由して名が伝わったとする見方の根拠の一つである。

神話・物語

エトルリア独自の物語は伝わらない。この双子について知られることのほとんどは、青銅鏡の背面に刻まれた図像と、そこに添えられた銘からくる。

エトルリア人はギリシアの神話を早くから受け入れ、鏡の背面に描いてきた。ただし人物の名は自らの言語に置き換え、しばしば筋も組み替えている。たとえばフフルンスがアリアドネーを見いだす場面を刻んだ鏡には、ギリシアの物語に登場しないカストゥルが加わっている。同じ神話を語りながら、登場人物の顔ぶれが違うのである。エトルリアの受容が単なる模倣ではなかったことを示す資料として、しばしば引かれる。

双子が神々の家系のどこに置かれるかにも、独自の整理が働いている。ティニアの子とされる神格にはフフルンスアプルも数えられるが、「ティンの子ら」という総称が用いられるのはこの双子だけである。ギリシアにおいて「ゼウスの子ら」を意味するディオスクーロイの名がそのまま訳されたとみることもできるが、エトルリア側で双子であることそのものが神格の要件として意識されていた可能性もある。

タルクィニアの「葬儀用寝台の墓」には、二人のためにレクティステルニウム——神像を寝椅子に横たえて饗する儀礼——が描かれている。図像としては、二つの尖った帽子に月桂冠を添えるだけで双子を表す例も知られる。像を描かずに持物だけで示すやり方は、スパルタのドカナに通じるものがある。

図像と象徴

作例の大半は青銅鏡である。本項に掲げたのは、前3世紀のエトルリアの鏡(ローマ、ヴィッラ・ジュリア国立エトルリア博物館蔵)で、向かい合う二人の若者として双子が刻まれている。エトルリアの銅鏡は裏面を研磨して顔を映し、表側の彫り込まれた面に神話の場面を刻むもので、副葬品として多数出土した。ギリシアの陶画が失われた大画面絵画の構図を伝えるのと同じように、エトルリアの鏡は当地の神話理解を今日に伝えている。

双子の目印は、頭にかぶる縁のない帽子ピロスと、しばしば添えられる星である。ギリシアの図像と共通するが、エトルリアの鏡では二人が裸で向かい合って立つ型が好まれ、騎馬像はギリシアほど多くない。槍を持つ姿、アムポラを間に置く姿も見られる。

ローマのフォルムに立つカストールとポッルクスの神殿は、前495年のレギッルス湖畔の戦いにちなむものだが、そこへ至る受容の経路にエトルリアがどう関わったかは決着していない。ラウィーニウムから出土した前6世紀から前5世紀の碑文がギリシア語をほぼそのまま写した形を伝えることから、マグナ・グラエキアからの直接の伝来を重く見る説もある。名の形(プルトゥケ/ポッルクス)はエトルリア経由を示唆し、碑文はギリシアからの直接伝来を示唆する。二つの経路が併存したと考えるのが穏当だろう。

系譜と関係

父はティニア。ギリシアのディオスクーロイに対応し、ローマのカストールとポッルクスへつながる。エトルリアの神々のうち、メンルヴァ(アテーナー)、トゥラン(アプロディーテー)、アプル(アポローン)と同様、ギリシアの神格と対応づけられながらエトルリア側の祭祀に組み込まれた例にあたる。ただし対応は名と図像の水準にとどまり、祭祀の内容まで一致するとは限らない。

文化的足跡

エトルリアの鏡に刻まれた神話図像は、19世紀のエドゥアルト・ゲルハルトによる集成『エトルリアの鏡』以来、体系的に研究されてきた。エトルリア語は今日なお十分に解読されていないが、鏡に添えられた神名の銘は語彙を確定するための重要な手がかりとなっており、この双子の名もその一つである。図像研究と言語研究が同じ資料に依拠している点で、エトルリアの神話は他の体系とは異なる読み方を要求する。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ディオスクーロイ ギリシア神話 同一視
エトルリアはギリシアの双子神を早くから受容し、カストゥル/プルトゥケの名で青銅鏡に表した。主神ティニアの子として「ティンの子ら(tinas cliniiaras)」と総称される。ただし鏡の図像にはギリシアの物語にない人物が加わるなど、受容は模倣にとどまらない。
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資料

Wikidata
Q126913825 — 骨格データの出典
Commons
Dioscuri — 図像カテゴリ