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カリアッハベーラ
PLATE — CAILLEACH BHÉARRA
CELTAE · ケルト神話
CAILLEACH BHÉARRA

カリアッハベーラ

カリアッハ · カリアッハ・ヴェーラ · カリアッハ・ヴュール

John Duncan 画/D. A. マッケンジー『Wonder Tales from Scottish Myth & Legend』1917年 PUBLIC DOMAIN

アイルランド・スコットランドに伝わる老女の姿の女神。山と谷を作り、鹿を従えて冬を統べる。杖で大地を凍らせ、ベルテネに退いてサウィンに戻るとされる。

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解説

概要

カリアッハベーラ(Cailleach Bhéarra)は、アイルランド・スコットランド・マン島のゲール語圏に伝わる、老女の姿をとる超自然的な存在である。山と谷を作り、冬を統べ、鹿を家畜として従える。カリアッハ(cailleach)はゲール語で「老女」「鬼婆」を意味する普通名詞であり、古アイルランド語 caillech(ヴェールをかぶった者)に遡る。その語幹 caille(ヴェール)は、ラテン語 pallium(毛織の外套)からの早い借用語である。

普通名詞であるがゆえに、この名は各地の別々の伝承上の女に与えられてきた。単一の神格として一本の系譜を組み立てようとすると、資料の性質を取り違えることになる。アイルランドではカリアッハ・ヴェーラ(ベーラの老女)、スコットランドではカリアッハ・ヴュール、マン島ではカリャッハと呼ばれる。「ベーラ」の語義については、ゲロイド・オー・クルラーヒが bior/beur(鋭い、かん高い、敵意ある)に結びつけて冬と荒野との関わりを見る一方、ノラグ・オー・ムリーレはケリー方言の béarach(波が激しく砕ける岸の岩)を挙げる。ただし古い形の語末はいずれの語源とも合わず、決着していない。

神話・物語

8〜9世紀のアイルランド語詩「ベーラの老女の嘆き」は、この名で呼ばれる女の名をディグデ(Digde)とする。クノ・マイヤーの要約によれば、彼女はベーラで五十人の養い子を育て、若さの周期を七度くり返したので、共に暮らした男はみな先に老いて死に、孫と曾孫が部族をなした。「スリーヴ・クリンの狩」ではミルクラと呼ばれて夏の女神アイネの姉妹とされ、「グラス・ガウナン」の話ではビーローグの名で現れる。同じ存在の別名なのか、たまたま同じ普通名詞で呼ばれた別々の女なのかは、資料からは決めがたい。

スコットランドの伝承では、山と丘は彼女が作ったものとされる。大地をまたいで歩くとき、背負った籠から落ちた岩が積もって山になったとも、踏み石として意図して築いたとも語られる。丘と谷を形づくる槌を持ち、すべての神々の母と呼ばれることもある。ドナルド・アレグザンダー・マッケンジーが20世紀初めに「冬の女王ベイラ」として紹介した姿は、一つ目、白髪、暗い青の肌、錆色の歯である。

季節との関わりが最もよく知られる。ブリギッドと組をなし、サウィンからベルテネまでの冬を彼女が、ベルテネからサウィンまでの夏をブリギッドが統べる。両者を一柱の女神の二つの面とみる解釈もあれば、ベルテネに石と化してサウィンに人の姿を取り戻すとする語りもある。権能の移る日は土地の気候によって違い、インボルク(2月1日)から、ラー・ナ・カリヒェ(3月25日)、ベルテネ(5月1日)までのどこかに置かれた。2月1日の天気にまつわる伝えは、この暦の感覚をよく示している。この日が晴れれば、彼女は冬を長引かせるつもりで薪を存分に集めている。だから人々は、その日の荒天をむしろ喜んだ。

西海岸には、彼女が冬を招き入れるとき、コリーヴレッカンの渦で大きなプレード(格子の大布)を洗うという伝えがある。洗いには三日かかり、迫る嵐の轟きは三十キロ内陸まで届く。洗い上がった布は真っ白で、そのとき雪が地を覆う。ベン・クルアハンでは、鹿を追って疲れた彼女が泉の番をしながら眠り込み、あふれた水が流れ下ってロッホ・オーになったと語られる。ボアンによるボイン川の創出と同型の話である。

収穫の習俗にも名が残る。刈り終えた最後の一束で作った人形をカリアッハと呼び、まだ終わらぬ隣人の畑へ投げ込む。最後になった者がこれを一年預かる——冬じゅう老女を養う羽目になるわけである。

図像と象徴

古代の図像は存在しない。この存在が知られるのは中世の詩と近代の口承によってであり、その図像は彫像でも浮彫でもなく、土地そのものである。

名を負う地形はアイルランドとスコットランドに数多い。モハーの断崖の南端はケン・カリー(老女の頭)、コーク州のラバカリー(老女の寝床)は楔形の巨石墓、ミース州のスリーヴ・ナ・カリヒェ(老女の山)にはラフクルーの羨道墳群があり、そのカーンTでは春分の日の出が羨道を貫いて奥室の彫刻を照らす。頂の縁石の一つは「老女の椅子」と呼ばれる。アーマー州スリーヴ・ギュリオンの墓室は「カリャ・ベーラの家」、ベン・ネヴィスは彼女の玉座とされた。名が地形に貼りついて伝わるこのあり方は、地名由来譚ディンシェンハスと地続きである。

持物は限られるが、いずれも仕事に直結している。大地を凍らせる杖、丘と谷を打ち出す槌、岩を運ぶ籠、渦で洗うプレード。従えるのは鹿であり、彼女にとってそれは家畜にあたる。

パースシャーのグレン・ライアンには、ティー・ナン・カリヒェと呼ばれる小さな石積みの小屋があり、水に磨かれた人形の石が納められている。石はカリアッハ、夫のボダッハ、その子らを表すという。ベルテネに外へ出して谷を見守らせ、サウィンに納めて冬に備える所作は今日も続けられており、この種の祠としてブリテン島に残る唯一の例とされる。

主画像は、マッケンジーの本のためにジョン・ダンカンが1917年に描いた挿絵で、雪の山に白いプレードをまとって坐す老女が槌を手にしている。ただしこれはケルト復興期の造形であって古代の図像ではない。今日流布するカリアッハの姿の多くは、ここに由来する。

系譜と関係

系譜らしい系譜はない。名が普通名詞であることの当然の帰結である。それでも、いくつかの結びつきは伝承のなかで繰り返される。夫として、ラバカリーの伝えではモグ・ルース——彼女の投げた岩に押さえつけられ、ファンション川の底に留まったという——が、グレン・ライアンの伝えではボダッハ(老爺)が挙げられる。ミルクラの名で語られる話ではアイネの姉妹となり、スリーヴ・ギュリオンの湖では、指輪を探して飛び込んだフィン・マックールを老人に変えた。

冬と大地を体現する老女という形象は、主権女神の型に現れる「醜女の変身」——王候補の前で老女が若い美女に変じる——と隣り合う。ただしカリアッハの若返りは王権の授与ではなく季節の循環に結びついており、似ているのは形であって機能ではない。

文化的足跡

18世紀のゲール語詩人ウィリアム・ロスは、自作を損なう内なる批評者をカリアッハに擬した掛け合いの詩を残している。19世紀末からのケルト復興は、この老女に視覚的な姿を与えた。マッケンジーの『スコットランド神話伝説の驚異譚』(1917年)とジョン・ダンカンの挿絵は「冬の女王ベイラ」の像を定着させ、今日の絵や物語の多くはその系譜に連なる。エディンバラのベルテン・ファイア・ソサエティが催すサウィンの祭では、夏から冬への交替を演じる役として現れる。2023年には同市のリセウム劇場が『雪の女王』の翻案でベイラと雪の女王を重ね合わせた。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1025867 — 骨格データの出典
Commons
Cailleach — 図像カテゴリ