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玄天上帝
PLATE — 玄天上帝
SINÆ · 中国神話・道教
玄天上帝

玄天上帝

真武大帝 · 玄武大帝 · 北極玄天上帝

玄天上帝図(明・15世紀初)/Herbert F. Johnson Museum of Art PUBLIC DOMAIN

北方を鎮める道教の大神。玄武の人格化に始まり、髪を振り乱して剣を執り、足下に亀と蛇を踏む武神の姿で信仰される。真武大帝とも呼ばれる。

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解説

概要

玄天上帝(げんてんじょうてい、玄天上帝 / Xuántiān Shàngdì)は、北方をつかさどる道教の大神である。真武大帝・玄武大帝・北極大帝ともいい、台湾では上帝公・帝爺公と親しく呼ばれる。二十八宿のうち北方七宿を神格化した存在であり、五行では北方に配される水を統べるところから水神・海神の性格をもつ。同時に、妖を降す蕩魔天尊であり、明代には国家を鎮護する武神ともされた。霊獣としての玄武がそのまま神になったのではなく、星宿の神格化と道教の神学、皇室の崇敬が積み重なって形づくられた神である。

玄武から真武へ

北方七宿の並びが亀の形に似ることから、これを玄武と呼んだ。漢代には亀に蛇(螣蛇)が絡む図像が生まれ、遅くとも唐までに亀蛇一体の玄武像が定着する。その人格化がこの神である。

名が「真武」に改まる経緯は明確である。北宋の大中祥符五年(一〇一二年)、宋朝が始祖と仰いだ聖祖・趙玄朗の諱を避けて、「玄武」の玄が「真」に置き換えられた。以後、この神は真武と呼ばれ、宋の皇室の庇護のもとで信仰を広げていく。

出自を語る説話も整えられた。浄楽国の太子として生まれ、母を善勝皇后といい、生まれつき秀でた相と聡明さをもっていた。太子の位を捨てて武当山に入り、四十二年の修行の末に昇天し、北方を鎮める神となったと伝えられる。足下の亀と蛇は、彼が鎮めた妖の精であるとも、玄武七宿の象徴がそのまま残ったものともいう。

星をめぐる異説

この神がどの星の人格化なのかについては、古くから説が割れている。玄武七宿とする説、そのうちの斗宿とする説、北斗七星とする説、北極星(紫微星)とする説が並び立ち、しばしば混同されて語られてきた。

出発点が玄武七宿にあることは、名からしても、亀蛇を伴う図像からしても動かない。しかし後代には北斗七星の人格化とみる理解が優勢となる。神が七星剣を執るのはその現れであり、「北極鎮天」の尊号や「北極四聖」の一に数えられることも、北斗七星を「北極七星」と呼ぶ道経の用例と対応する。他方で、天球上の「北極」(紫微垣一帯)と「北極星」とは別の概念であり、二十八宿に属する玄武七宿は本来「北極」とは呼ばれない。名称の重なりが説の混線を招いてきたのである。異説のどれかを正解として一本化するより、玄武七宿から北斗七星へと理解が移っていった経緯として捉えるのが妥当である。

図像と象徴

玄天上帝の像は、きわめて特徴が強い。冠を戴かず髪を振り乱し、黒の袍をまとって右手に七星剣を執り、多くは赤足で、足下に亀と蛇を踏む。険しい眉と見開いた眼をもち、周囲に龜蛇二将(水火二将)や周公・桃花女などの従神を配する。北方の色である黒が像の基調をなす。

十五世紀初頭の道教絵画に描かれた本図のように、雲上の岩座に坐して従神と神将に囲まれる構図は、明代に整えられた玄天上帝像の典型である。武当山の宮観に安置された銅鋳の神像群もこの型を伝える。髪を束ねないという特異な表現には、修行の途上で身を捨てた太子という来歴が反映しているとみる解釈がある。台湾の廟では、黒面の坐像として祀られ、龜蛇を踏む足元が信者の目に触れやすいよう据えられることが多い。

系譜と関係

四神の一である玄武が霊獣として北方を守るのに対し、玄天上帝はその玄武を足下に置く人格神である。両者は同じ北方の観念から派生しながら、獣と神という別の位相に分かれた。道教の神階では、北極紫微大帝に仕える北極四聖の一に数えられる。

明の皇室との結びつきは特筆される。朱元璋が陳友諒に敗れて武当山の真武廟に身を隠し、破れた蜘蛛の巣がひとりでに繕われて追手の目を欺いたという伝説が語られ、永楽帝は靖難の役の勝利を真武の加護によるものと称し、自らを真武の化身になぞらえた。武当山に大規模な宮観群が営まれたのはこの時であり、真武は「鎮邦の神」として国家祭祀に組み込まれた。

日本では、北極星・北斗七星を尊ぶ妙見信仰と性格が重なるため、両者はしばしば結びつけて語られる。ただし妙見は仏教の尊格として受容されたものであり、道教の真武信仰がそのまま伝わったわけではない。

文化的足跡

玄天上帝の信仰は華南から台湾・東南アジアの華人社会へ広がり、今日もっとも篤く祀られる神格の一つである。誕辰の旧暦三月三日には各地の廟で盛大な祭礼が営まれ、台湾では松柏嶺の受天宮などを中心に、数か月にわたる進香(じんこう)の行列が続く。武当山の建築群は世界遺産に登録され、真武信仰の規模を今に伝えている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
玄武 中国神話・道教 同一視
玄天上帝は北方七宿の霊獣「玄武」の人格化。宋の大中祥符5年(1012)に聖祖趙玄朗の諱を避けて玄武→真武と改称され、玄武大帝の号も用いられた。
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資料

Wikidata
Q704070 — 骨格データの出典
Commons
Zhenwu — 図像カテゴリ