ウーラニアー
ウラニア · ウーラニア · Ourania
天文を司るムーサ。名は「天の」を意味する。天球儀と指し棒を持ち、星の運行を説く姿で表される。
解説
概要
ウーラニアー(Οὐρανία / Ourania)は、天文を司るムーサである。名は「天の」を意味し、天空神ウーラノスと同根である。
天文が詩歌の女神たちの分業に含まれるのは、ギリシアにおいて星の運行を説くことが韻文の仕事であったからである。ヘーシオドスやアーラートスは、農事暦と星座の知識を詩の形で書いた。彼女の管轄は、今日の分類でいう科学と文学の双方にまたがっている。
神話・物語
固有の逸話は乏しい。婚礼の神ヒュメナイオスの母とする説、伝説的な楽人リノスの母とする説が伝わるが、後者はカリオペーやテルプシコラーにも帰され、定まらない。
なお、アプロディーテーの別名にもウーラニアー(天上のアプロディーテー)があり、こちらは肉の欲を離れた愛を指す称号として、プラトン『饗宴』以来くり返し論じられてきた。別の神格の称号であって、ムーサとは無関係である。
図像と象徴
持物は天球儀と、それを指す小さな棒である。星の運行を人に説き示すという所作がそのまま図像になっており、九柱のうちで最も具体的な道具を与えられている。
本ページの主画像は、後2世紀前半のローマの《ムーサの石棺》(ルーヴル美術館 Ma475)に彫られた彼女である。
系譜と関係
文化的足跡
近世の天文学書は扉絵に彼女を掲げるのを通例とし、天球儀を持つ女性像は天文学そのものの記号となった。ミルトンは『失楽園』第七巻の冒頭で彼女を呼び、ただし異教の女神としてではなく「天上の意味こそが汝の名だ」と読み替えている。異教の女神への呼びかけをキリスト教の枠内で正当化しようとした試みにあたる。小惑星(30)ウラニアもこの名を負う。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。