テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
ウカノミタマ
PLATE — 宇迦之御魂神
YAMATO · 日本神話
宇迦之御魂神

ウカノミタマ

ウカノミタマ · 宇迦之御魂神 · 倉稲魂命

三重・大津神社の宇迦之御魂神像(平安時代) PUBLIC DOMAIN

須佐之男命の子で「稲に宿る神秘な霊」を意味する穀物の女神。記紀に事績はないが、室町時代以降に伏見稲荷の主神と明記され稲荷神と同一視された。「三狐神」の字が狐との結びつきの一因とされる。

01

解説

概要

ウカノミタマは、日本神話に登場する女神。『古事記』では宇迦之御魂神、『日本書紀』では倉稲魂命と表記する。

名前の「宇迦」は穀物・食べ物の意味で、穀物の神である。「宇迦」は「ウケ」(食物)の古形で、とりわけ稲霊を表し、名義は「稲に宿る神秘な霊」と考えられる。記紀ともに性別が明確にわかるような記述はないが、古くから女神とされてきた。

伏見稲荷大社の主祭神であり、稲荷神として広く信仰されている。ただし、稲荷主神としてウカノミタマの名前が文献に登場するのは室町時代以降のことである。

記紀神話

『古事記』では、須佐之男命の系譜において登場し、須佐之男命が櫛名田比売の次に娶った神大市比売との間に生まれている。同母の兄に大年神がいる。大年神は一年の収穫を表す年穀の神である。

『日本書紀』では本文には登場せず、神産みの第六の一書において、イザナギイザナミが飢えて気力がないときに産まれたとしている。飢えたときに食を要することから、穀物の神が生じたと考えられている。記紀ともに名が出てくるだけで事績の記述はない。

稲荷神との関係

平安時代の『延喜式』大殿祭祝詞には、トヨウケビメの別名ともされる屋船豊宇気姫命が登場するが、祝詞の注記では「これ稲の霊なり。世にウカノミタマという」と説明している。

鎌倉時代に伊勢神宮で編纂された神道五部書では、内宮の御倉神三座をウカノミタマとし、「専女とも三狐神とも名づく」と記す。「三狐神」の字が当てられたのは、関西方言では狐を「ケツ(ネ)」と呼んだことによるといわれる。この字が、ウカノミタマと狐の結びつきの一因とされる。

室町時代の吉田兼倶『神名帳頭註』の伏見稲荷の条で、ウカノミタマが稲荷の主神として明記された。以後、稲荷神=ウカノミタマの理解が定着した。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、大津神社(三重県)の宇迦之御魂神像である(平安時代)。

稲穂を持つ女神の姿で表される。稲荷神としては、狐に乗る、あるいは狐を伴う姿でも描かれる。

記紀に事績がなく、名だけが伝わる神が、稲荷信仰と結びつくことで日本で最も広く祀られる神の一つになった。稲荷神社は全国約三万社を数える。

関わる神格・伝承

父は須佐之男命、母は神大市比売、兄は大年神。稲荷神と同一視される。大気都比売保食神、豊受大神と習合する。

文化的足跡

伏見稲荷大社は稲荷神社の総本社であり、千本鳥居で知られる。稲荷信仰は農耕から商売繁盛へと職能を広げ、今日も日本で最も身近な信仰の一つである。

なお神道と日本の民間信仰は今日も継承されている生きた信仰であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q3080728 — 骨格データの出典