トゥルヌス
トゥルヌス · Turnus
ルトゥリ人の王で『アエネーイス』の主要な敵役。ラウィーニアの求婚者としてアエネーアースと戦い、パッラースを殺してその剣帯を奪った。一騎打ちで敗れて命乞いしたが、剣帯を見たアエネーアースに殺された。
解説
概要
トゥルヌス(Turnus)は、ローマ神話におけるルトゥリ人の伝説上の王で、ウェルギリウス『アエネーイス』における英雄アエネーアースの主要な敵役である。
『アエネーイス』によれば、トゥルヌスはダウヌスとニュンペーのウェニリアの子で、ニュンペーユートゥルナの兄である。
歴史的伝承
歴史資料におけるトゥルヌスの情報は限られ、トゥルヌスとルトゥリ人についての一部の重要な細部は『アエネーイス』の記述と大きく異なる。『アエネーイス』に先立つ唯一の資料はカトー『起源論』である。リウィウスとハリカルナッソスのディオニュシオスも言及するが、いずれも『アエネーイス』より後である。
これらの歴史資料において、トゥルヌスの出自は不明である。ディオニュシオスは「エトルリア人」を意味するテュルレーヌスと呼び、他の資料はギリシアの祖先を示唆する。
『アエネーイス』における物語
トゥルヌスはラウィーニアの最有力の求婚者であり、女王アマータの寵愛を得ていた。アエネーアースが到来して王が娘を彼に与えようとしたとき、ユーノーは復讐の女神アレクトーを遣わしてトゥルヌスを狂わせ、戦争を起こさせた。
トゥルヌスはラテン人とルトゥリ人の連合軍を率い、トロイア人と戦う。第9巻ではトロイア人の陣営に単身突入して多数を討ち、第10巻ではアエネーアースの若い同盟者パッラースを殺してその剣帯を奪った。
第12巻、両軍の戦争を終わらせるためアエネーアースとの一騎打ちに臨む。妹ユートゥルナがユーノーの命で介入して引き延ばすが、ついに神々の合意により決闘が行われる。アエネーアースの槍に腿を貫かれたトゥルヌスは命乞いをし、アエネーアースは一瞬ためらう。しかしトゥルヌスの肩にパッラースの剣帯を見て怒りに駆られ、これを殺した。詩はこの殺害で終わる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、《アエネーアースとトゥルヌス》の図である(1688年)。
敵役でありながら同情を集める人物という位置が、この人物を規定する。トゥルヌスは自らの土地と婚約者を守る者であり、その怒りは神々によって煽られたものである。『アエネーイス』が敵の死で終わることは、勝者アエネーアースの行為への問いを含んでいる。
ホメーロスのヘクトールとの対応が指摘される。祖国を守って外来の英雄に討たれる者。ただしウェルギリウスは、トゥルヌスの死の場面でアエネーアースをアキレウスの位置に置きながら、その怒りを肯定しない。
関わる神格・伝承
父はダウヌス、母はウェニリア、妹はユートゥルナ。ユーノーとアレクトーに動かされた。パッラースを殺し、アエネーアースに殺された。
文化的足跡
『アエネーイス』の結末——命乞いするトゥルヌスをアエネーアースが殺す——は、古代以来、叙事詩の終わり方をめぐる議論の中心にある。