ラウィーニア
ラヴィニア · Lavinia
ラティーヌス王の娘でアエネーアースの最後の妻。トゥルヌスとの求婚争いが『アエネーイス』後半の戦争を招いた。供犠の最中に髪が燃え上がる前兆を除けば、全篇で一言も語らない。ラウィーニウムの名祖。
解説
概要
ラウィーニア(Lavinia)は、ローマ神話におけるアエネーアースの最後の妻である。標準的な版では、ラティーヌス王とアマータの娘である。アエネーアースはラテンの町ラウィーニウムを彼女にちなんで名づけた。
物語
ウェルギリウスの記述では、王の唯一の子で「婚期を迎えた」ラウィーニアは、ラティウムの王になることを望む多くの男に求婚されていた。ルトゥリ人の支配者トゥルヌスは、女王アマータの寵愛を得て最も有力な求婚者であった。
ラティーヌス王は父ファウヌスから夢の神託で、娘をラテン人に嫁がせてはならないと警告された。
ラウィーニアの『アエネーイス』における最も記憶される——あるいは唯一の——場面は第7巻にある。神々の祭壇での供犠の最中、彼女の髪が燃え上がった。ラウィーニアには栄光の日々を、全ラテン人には戦争を約束する前兆である。
夢の神託と予言の瞬間からまもなく、アエネーアースはラティーヌス王に贈り物を携えた使者を送る。王はアエネーアースを運命の者と認めた。しかしユーノーが復讐の女神アレクトーを遣わしてアマータとトゥルヌスを狂わせ、戦争が起こる。
アエネーアースはラウィーニウムをラウィーニアにちなんで名づけたとされる。一部の伝えでは、アエネーアースとラウィーニアには息子シルウィウス——アルバ・ロンガの伝説的な王——があった。リウィウスによれば、アエネーアースの死後、ラウィーニアはアスカニウスが成人するまでラテン人を治めた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、グイヨーム・ルイエ『著名人肖像集』(1553年)のラウィーニア像である。近世の想像による肖像である。
一言も語らない女という位置が、この人物を規定する。『アエネーイス』全篇において、ラウィーニアは一度も発言しない。彼女をめぐって戦争が起こり、彼女の髪が燃え、彼女の頬が赤らむ——しかし彼女自身は沈黙している。
燃える髪という前兆が、この人物の唯一の能動的な場面である。ラウィーニアの身体が、ラティウムの未来を告げる媒体になっている。
関わる神格・伝承
父はラティーヌス、母はアマータ、夫はアエネーアース、子はシルウィウス。トゥルヌスに求婚された。
ギリシアのヘレネーと同じく、その婚姻をめぐって戦争が起こる女である。ただしヘレネーが自ら行動するのに対し、ラウィーニアは行動しない。
文化的足跡
ウルスラ・K・ル=グウィン『ラウィーニア』(2008年)は、『アエネーイス』で沈黙する彼女に声を与えた小説として知られる。