トオーサ
トオサ · Thoosa · Thoōsa
ポルキュースの娘で海のニュンペー。洞窟でポセイドーンに愛され、人食いの単眼巨人ポリュペーモスを産んだ。ホメーロスのキュクロープスをヘーシオドスの三兄弟と分かつ系譜の要。
解説
概要
トオーサ(Θόωσα、「速い者」)は、ギリシア神話に登場する海のニュンペーである。
ホメーロスによれば、海神ポルキュースの娘で、洞窟のなかでポセイドーンに愛され、恐るべき単眼の巨人ポリュペーモスを産んだ。
神話・物語
『オデュッセイア』第1巻において、ゼウスがポセイドーンの怒りの理由を語る箇所に、この名が現れる。ポセイドーンは、オデュッセウスが息子ポリュペーモスの目を潰したことを恨んでいる。その息子の母がトオーサであり、ポルキュースの娘であると説明される。
固有の物語はこれ以上伝わらない。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
この女性が担うのは、ポリュペーモスの出自の説明である。ポリュペーモスは、かつてゼウスに雷霆を与えた三人のキュクロープス——ブロンテース、ステロペース、アルゲース——とは異なり、野蛮な人食い巨人の種族に属する。その母をポルキュースの娘とすることで、海の怪物の系譜に接続されている。
ポルキュースはゴルゴンたち、グライアイ、スキュラの父でもある。ポリュペーモスは、母方を通じてこれらの怪物と血縁になる。
関わる神格・伝承
父はポルキュース、配偶者はポセイドーン、子はポリュペーモス。
『オデュッセイア』のキュクロープスがヘーシオドスの三兄弟と別系統であることは、この系譜によって示される。父が同じポセイドーンではなくウーラノスであり、母が海の怪物の娘である点で、二つの系統は分かれる。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。ポリュペーモスの母として、系譜に現れる程度である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。