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PLATE — ἈΛΏΠΗΞ ΤΕΥΜΗΣΣΊΑ
HELLAS · ギリシア神話
ἈΛΏΠΗΞ ΤΕΥΜΗΣΣΊΑ

テウメーッソスの狐

テウメッソスの狐 · テウメソスの狐 · テウメッサの狐

テーバイを荒らした巨大な牝狐。決して捕まらない運命にあり、決して獲物を逃さない猟犬と対決してともに石に変えられた。

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解説

概要

テウメーッソスの狐(ἀλώπηξ Τευμησσία)は、ボイオーティアのテーバイ北東のテウメーッソスに棲んだとされる巨大な牝狐である。カドメイアにたびたび現れ、多くの子供を襲って食い殺した。

この怪物を特徴づけるのは、姿でも力でもない。決して捕まらないという運命を負っていることである。そしてその運命が、決して獲物を逃さない猟犬の運命と正面から衝突する。

登場する物語

一説には、ディオニューソスがテーバイに災いをもたらすために放った怪物であるという。神々が国の罪を罰するために送ったとも伝えられる。神が獣を送って土地を罰するという型は、カリュドーンの猪エリュマントスの猪と共通する。

捕まえられない以上、テーバイの人々にできたのは被害を抑えることだけであった。毎月一人の子供を生贄として差し出したという。退治されない怪物と共存するという、ギリシアの怪物譚では珍しい状況である。

事態を動かしたのは、別の目的を持つ者だった。アムピトリュオーンは、タポス王プテレラーオスと戦うためにテーバイ王クレオーンの協力を求めた。クレオーンは、この狐を退治することを条件とした。

そこでアムピトリュオーンはアテーナイのトリコスへ赴き、ケパロスに助けを求める。ケパロスの持つ猟犬ライラプスが、どんな獲物も決して逃さないという運命を負っていたからである。タポス戦で得られる戦利品と引き換えに犬は貸し出され、狐狩りが始まった。

ここで論理が破綻する。狐が捕まることは運命に反し、犬が獲物を逃すこともまた運命に反する。追う者と追われる者が、互いに実現不可能な定めを背負って走り続けた。二つの必然が同時に成り立たない。これを見たゼウスは、両者を石に変えた。

追跡は永遠に未完のまま凍結される。捕まってもいないし、逃げ切ってもいない。ゼウスの裁定は、どちらの運命も破らずに事態を終わらせる唯一の方法であった。神が矛盾そのものを処理する場面として、この挿話は古代から知られていた。

なおアムピトリュオーンは、結果として狐の害を止めたことになり、クレオーンの協力を得てタポス遠征を果たす。彼にとってこの狩りは、目的ではなく手段であった。怪物退治が英雄の栄光としてではなく、取引の条件として扱われている点も、この物語の特徴である。

図像と象徴

古代の作例は知られていない。狐そのものに固有の標識がなく、しかも物語の要点は姿ではなく論理にあるため、絵にする手がかりが乏しかったのだろう。追跡の場面を描いても、それが永遠に終わらないことを画面で示すことはできない。本項では主画像を置いていない。

石に変えられた二頭は天に上げられ、犬ライラプスがおおいぬ座、狐がこいぬ座になったとする伝えがある(カタステリスモス)。もっともこいぬ座の由来としては、エーリゴネーの犬マイラとする説のほうが広く行われており、狐説は少数にとどまる。

関係する神格・退治した英雄

送り主はディオニューソス、あるいは神々一般。対決したのは猟犬ライラプス、その持ち主がケパロス、狩りを企てたのがアムピトリュオーン、条件を課したのがクレオーン、決着をつけたのがゼウスである。討たれずに終わる怪物という点で、ギリシアの幻獣のなかでも例外に属する。

文化的足跡

現代の哲学と論理学では、「不可避の矛盾」の例としてしばしば引かれる。絶対に貫くものと絶対に貫かれないものを並べる「矛盾」の故事——中国の『韓非子』に見える——と構造が同じであり、比較して語られることも多い。ただし両者に系統的なつながりはなく、二つの絶対を並置すれば矛盾が生じるという発想が、独立に二か所で物語の形をとったものとみるべきである。

コンピュータ科学の分野では、解決不能な状況を指す比喩として持ち出されることがある。捕まらない獲物と逃さない追跡者という設定が、そのまま停止しないアルゴリズムの寓話として読めるからである。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1857362 — 骨格データの出典