プテレラーオス
プテレラオス · Pterelaus · Pterelāos
タポスの王で、ポセイドーンに植えられた黄金の毛髪によって不死であった。アムピトリュオーンに恋した娘コマイトーがその毛を抜き、都は陥落した。ヘーラクレース誕生の前提。
解説
概要
プテレラーオス(Πτερέλαος / Pterelaos)は、アカルナーニア沖のタポス島を治めたテーレボアイ人の王である。ポセイドーンが頭に植えた一本の黄金の髪があるかぎり死ぬことがなかったが、娘コマイトーにその髪を抜かれて死んだ。
神話・物語
アポロドーロス(2.4.5〜7)によれば、プテレラーオスは、ペルセウスの子メーストールの娘ヒッポトエーとポセイドーンのあいだに生まれたタピオスの子である。
プテレラーオスの子らは、ミュケーナイ王エーレクトリュオーンのもとに来て、祖先メーストールの領分を返せと迫った。拒まれると王の牛を奪い、これを防ごうとしたエーレクトリュオーンの息子たちと戦って、ほぼ相討ちとなった。生き残ったのは、王の側では幼いリキュムニオス、タポスの側ではエウエーレースだけであった。
エーレクトリュオーンの娘アルクメーネーは、兄弟の仇を討つまでは夫アムピトリュオーンと床を共にしないと誓った。アムピトリュオーンはテーバイの助けを得てタポスに攻め寄せたが、プテレラーオスが生きているかぎり島は落ちなかった。
ところが王の娘コマイトーがアムピトリュオーンに恋をし、眠る父の頭から黄金の髪を抜いた。プテレラーオスは死に、島は征服された。アムピトリュオーンは、父を裏切ったコマイトーを殺したという。アムピトリュオーンがこの遠征に出ていたあいだに、ゼウスが彼の姿でアルクメーネーを訪れることになる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
父はタピオス(あるいはポセイドーン)。子らの名はクロミオス、テュランノス、アンティオコスら。娘はコマイトー。
父の命を握る髪を娘が敵のために抜くという筋は、メガラ王ニーソスとその娘スキュラの物語とまったく同じ型である。
文化的足跡
この遠征が、ヘーラクレースの誕生譚の前提となっている。プラウトゥスの喜劇『アンピトルオー』でも、アムピトリュオーンはテーレボアイ人との戦いから帰還する将軍として描かれる。