セビウメケル
セビウメケル · サボマカル · Sebiumeker
メロエの生殖と豊穣の至高神で、その像が戸口の近くに置かれることから門の守護者ともされる。二重冠とネメス頭巾というエジプト様式の姿をとりながら、顔立ちと体型にヌビア的な特徴を持つ。アトゥムと多くの類似がある。
解説
概要
セビウメケルは、ナイル川上流に栄えた古代クシュ王国のメロエで祀られた神で、生命を生み出す力と豊かさを司る、重要な神の一柱とされる。神殿の戸口の近くでその像が見つかることが多いため、門を守る神とも考えられている。姿はエジプトの神アトゥムとよく似ているが、顔立ちや体つきにはヌビアの特徴が見られる。メロエ語が解読されていないため、その働きの理解は図像と出土の状況からの推測にとどまる。
なお本サイトの分類では、ヌビア・クシュの体系に含めて扱う。
名の移り変わり
メロエ語での名は、おそらくサボマカルであり、それがエジプト語でセビウメケルと記された。神の名がヌビアの側からエジプトの側へと移された形を確かめることのできる、数少ない例である。
門を守る神
セビウメケルの像は、しばしば神殿の戸口の近くに置かれた。神殿に入る者を守り、あるいは阻む役を担っていたと考えられる。ムサワラット・エッ=スフラの遺跡からは、セビウメケルの像がいくつも見つかっている。門を守る神は、エジプトのベス、ローマのヤーヌス、中国の門神にも見られ、いずれも、境界こそ守られるべき場所であるという考えに基づいている。
アトゥムに似た姿
セビウメケルは、二重冠を戴いてネメス頭巾をつけ、両手を体の脇に下ろしてまっすぐに立つ姿で表される。エジプトの神アトゥムの像とよく似た、エジプトの神像の様式である。一方で、顔立ちや体つきにはヌビアの特徴があると指摘されている。形式をエジプトから借りながら、造形は土地のものなのである。
推測にとどまる働き
セビウメケルは、メロエで生命を生み出す力と豊かさを司る重要な神とされ、農耕の神ともみなされる。ただし、これらの働きの理解は、図像と出土の状況からの推測である。メロエ語の碑文が読めないため、確かなことは言えない。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、メロエ出土のセビウメケル像(前1世紀頃、砂岩、コペンハーゲンのニュー・カールスベア彫刻館蔵)である。
関わる神格・伝承
アトゥムと似た姿を持ち、アペデマクやアレンスヌフィスとともにメロエの神々をなす。
文化的足跡
ムサワラット・エッ=スフラの遺跡は、2011年に「メロエ島の考古遺跡群」としてユネスコの世界遺産に登録された。