テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
アレンスヌフィス
PLATE — ARENSNUPHIS
NUBIAN · ヌビア・クシュの神話
ARENSNUPHIS

アレンスヌフィス

アレンスヌフィス · イリヘメスネフェル · Arensnuphis

メロエ出土のアレンスヌフィス神像(前100〜50年、砂岩、スコットランド国立博物館蔵)/撮影: Osama Shukir Muhammed Amin/CC BY-SA 4.0 CC BY-SA 4.0

クシュ王国の神で、名はエジプト語で「よき伴侶」を意味する。フィラエではイシスの伴侶と呼ばれた。エジプト人はシューと習合させ、怒ってヌビアへ去った女神を連れ戻す役を与えた。固有の神話は伝わらない。

01

解説

概要

アレンスヌフィスは、ナイル川上流に栄えた古代クシュ王国の神で、紀元前3世紀のムサワラット・エッ=スフラの遺跡で初めて確認される。エジプト語での名は「よき伴侶」を意味する。獅子の姿や、羽根の冠を戴き槍を持つ人の姿で表された。のちにはエジプトの神殿でも祀られ、エジプトの人々はこの神を自分たちの神シューと重ね合わせた。ただし、クシュの人々にとってこの神がどのような存在だったのかは、分かっていない。

なお本サイトの分類では、ヌビア・クシュの体系に含めて扱う。

「よき伴侶」

アレンスヌフィスへの信仰は、プトレマイオス朝の時代(紀元前305〜前30年)に、エジプトが支配していたクシュの一部へと広がった。フィラエの神殿では、アレンスヌフィスは女神イシスの「伴侶」と呼ばれ、デンドゥルの神殿にも祀られた。エジプトの人々は、この神を自分たちの大気の神シューと重ね合わせた。

遠ざかる女神の物語

エジプトとヌビアには、「遠ざかる女神」という共通の物語がある。太陽の神の娘(テフヌト、あるいはハトホル)が怒ってヌビアへ去り、トートあるいはシューが遣わされて、女神をなだめて連れ帰るというものである。戻ってきた女神を迎える祭も営まれた。アレンスヌフィスは、シューと重ねられたことで、この物語のなかで女神を連れ戻す役を担うことになった。女神がヌビアへ去ってエジプトへ戻るという筋は、二つの地域の関わりを物語として表したものと考えられている。

分からないこと

アレンスヌフィスには、固有の神話が伝わっていない。神殿の浮彫や碑文に名が記され、姿が描かれてはいるが、その物語はない。クシュの側の資料はメロエ語で書かれていて読むことができないため、この神のもとの性格は分からないのである。今日知られているアレンスヌフィスは、エジプトの人々がこの神をどう理解したかの記録にすぎない。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、メロエで出土したアレンスヌフィスの神像(紀元前100〜50年、砂岩、スコットランド国立博物館蔵)である。

関わる神格・伝承

シューと重ねられ、イシスの伴侶とされる。アペデマクやセビウメケルとともにメロエの神々をなす。

文化的足跡

フィラエのアレンスヌフィス神殿は、アスワン・ハイ・ダムの建設に伴う遺跡の移設(1960〜80年)の際に、アギルキア島へ移された。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q499413 — 骨格データの出典