ロスメルタ
ロスメルタ女神 · dea Rosmerta
ガリアの豊穣の女神。「偉大な与え手」を意味する名を持ち、多くはメルクリウスと対で祀られ、コルヌコピアや財布を手にする。
解説
概要
ロスメルタ(Rosmerta)は、ガリア東部とライン地方で崇拝された女神である。名はガリア語で「偉大な与え手」を意味し、豊かさと繁栄の女神と解されている。
インテルプレタティオ・ロマーナのもと、メルクリウスの伴侶として多くのラテン語奉献碑文と浮彫に現れる。ただし単独で名を挙げる奉献も少数ながらある。持物は豊かさの記号——コルヌコピア、パテラ、財布、木の桶——である。古典の著述家は一人としてこの名を記しておらず、証拠は碑文と図像、そして一つのガリア語銘文に限られる。
神話・物語
物語は伝わらない。ガリア語の銘は、ピュイ=ド=ドーム県ルズーの陶片に残る一例のみである。
名はガリア語の合成語で、第一要素は「非常に、偉大な」を意味する接頭辞 ro-、第二要素は「備え」「与え手」の意に解される語幹 smert- からなる。この語幹はガリアの人名・神名に広く現れ、アドスメリウス、アテスメルタ、カンティスメルタ、そしてマールスの添え名スメルトリオスがその例である。北ブリテンの部族名スメルタエも同じ語根にあたる。メルクリウス自身がポワティエの奉献でアドスメリウスの添え名を帯びていることは、この対の結びつきの深さを示す。
smert- の正確な意味には議論がある。ジョン・T・コッホは「備え」「先見」「輝き」「塗油された」といった諸説を並べる。ジョゼフ・ヴァンドリエスは「思いめぐらす、心を配る」の語根に遡らせ、ギリシア語のモイラ(運命)と比べて運命の観念に結びつけた。ドラマールは同じ語根を「世話をする、備える」の意に採る。ポール=マリー・デュヴァルとヤン・ド・フリースはともに「偉大な与え手」の訳に落ち着き、ド・フリースはこの名が富の、そしておそらくは豊穣の神格を指すと付け加えた。
図像と象徴
浮彫における彼女は、豊かさの標識を帯びる。コルヌコピア、果物の籠、パテラ、財布を手にし、ときにメルクリウスの伝令杖カドゥケウスを持つ。ローマのフォルトゥーナと重ねられることもあり、その持物である舵と球を引き継ぐ例もある。
主画像はプファルツ州アイゼンベルク出土の浮彫で、メルクリウスとロスメルタを並べて表す。この石碑は下部に両神への奉献銘を伴い、女神は下ろした右手にパテラ、胸元に財布を抱える。メスの浮彫では、カドゥケウスを持つメルクリウスが財布を差し出し、彼女が左腕にコルヌコピアを支えながらこれを受け取る。エスコリーヴ=サント=カミーユの石碑では単独で表され、右手にパテラ、左手に果物を満たしたコルヌコピアを持つ。
ヴィルヘルム・シュライアーマッハーは、これらの像の背後に二つの原型を区別した。一つはパテラとコルヌコピアという豊穣の持物を持つ型、もう一つはメルクリウスの財布とカドゥケウスを共有する型で、後代の浮彫では両者が混じり合う。銘を伴う作例はごく少なく、多くの同定は持物とメルクリウスとの組み合わせに依っている。
系譜と関係
信仰はリンゴネス族、トレウェリ族、メディオマトリキ族、レウキ族に集中する。ド・フリースはこれをガリアの中心地とみて、この信仰を純然たるガリア起源のものと扱った。西方のアエドゥイ族、上ゲルマニアのライン諸都市にも奉献があり、ノリクムやダキアのサルミゼゲトゥサにまで散発的に及ぶ。
奉献者には都市の政務官、参事会員、アウグストゥス祭の六人官が並ぶ。ガリアとゲルマニアにおけるメルクリウスの主たる役は商業の神であり、この対は交易と所領の運営に適った組み合わせであった。
なお当サイトでは、メルクリウスとの関係を同一視として登録していない。彼女はメルクリウスに置き換えられたのではなく、その伴侶として名を保った女神だからである。ナントスウェルタとスケッロスの対とは異なり、この組では男神の側がローマの名を取っている。
文化的足跡
ロスメルタは、ガロ=ローマ期の宗教において土着の女神がどのように生き延びたかを示す代表例として論じられてきた。男神がローマの名に置き換えられ、女神が土着の名を保つという組み合わせは、ガリアの神々の対に繰り返し見られる型である。現代の幻想文学に名を借りられることもあるが、原典の側にあるのは、財布と角杯を手にした一体の像と、数十行の奉献銘だけである。