レア・シルウィア
レア・シルヴィア · イリア · Rhea Silvia
ロームルスとレムスの母。王位を奪った叔父アムリウスにウェスタの処女を強いられたが、マールスによって双子を身ごもった。投獄されたのち河神ティベリーヌスに救われたともいう。別名イリアはトロイアの女の意。
解説
概要
レア・シルウィア(Rhea Silvia)は、イリアとしても知られ、ローマ市を建てた双子ロームルスとレムスの神話上の母である。ウェスタの処女であり、神マールスによって双子を身ごもった。出産ののち双子は取り上げられ、牝狼に育てられた。
これらの出来事はローマの美術と文学にしばしば描かれた。その物語はリウィウス『ローマ建国史』第一巻、カッシウス・ディオ『ローマ史』に記録され、『アエネーイス』とオウィディウスの作品にも言及がある。
神話・物語
リウィウスによる伝説の記述によれば、レア・シルウィアはアルバ・ロンガの王にしてアエネーアースの裔であるヌミトルの娘であった。ヌミトルの弟アムリウスが王位を奪い、ヌミトルの息子を殺し、レア・シルウィアをウェスタの処女——独身を誓う女祭司——に強いた。ヌミトルの家系に後継者が生まれないようにするためである。
しかしレアは神マールスによって双子を身ごもった。プルータルコスによれば、レアは啄木鳥と狼——マールスの聖獣——が子供たちの世話をするのを見て、これを信じたという。
アムリウスはレアを投獄し——あるいは生き埋めにし——双子を川に棄てさせた。一部の伝えでは、レアは河神ティベリーヌスに救われてその妻となり、川の女神になったという。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ヤコポ・デッラ・クエルチャ作のレア・シルウィア像である(シエナ、フォンテ・ガイア)。
処女であることを強いられた女が神の子を産むという構造が、この人物を規定する。ウェスタの処女は独身を誓い、破れば生き埋めの刑に処される。その掟のなかで、神との交わりだけが許される例外になっている。
イリアという別名は「イーリオン(トロイア)の女」を意味し、アエネーアースの裔であることを示す。ローマ建国者の母が、トロイアの血を引くことが、名によって示されている。
関わる神格・伝承
父はヌミトル、子はロームルスとレムス。マールスとの交わり。ティベリーヌスの妻とする伝えがある。
ギリシアのダナエー——塔に幽閉されながらゼウスの子を身ごもった——と同じ型に属する。
文化的足跡
レア・シルウィアとマールスの図像は、ローマの石棺やモザイクに描かれた。ルーベンス《マルスとレア・シルウィア》(1617年頃)など、近世の作例も多い。