ペナーテース
ペナテス · ディー・ペナーテース · Di Penates
ローマの家の神々のうち食料庫の守護神。家族の食事のたびに炉の火に供物を投げ入れた。公共のペナーテースはアエネーアースがトロイアから持ち出した神々とされ、ウェスタ神殿の奥に祀られた。
解説
概要
古代ローマの宗教において、ディー・ペナーテース(Di Penates)あるいはペナーテースは、家の神々のうち、家庭の儀礼で最も頻繁に呼ばれるものであった。家族が食事をするとき、炉の火にペナーテースのために一片を投げ入れた。それゆえウェスタ、ラレース、家父長のゲニウスとともに、家という「小さな宇宙」に結びついていた。
他の家の神々と同じく、ペナーテースには公共の対応者があった。
職能
ペナーテースの語源的な解釈は、ペヌス——貯蔵室、食料庫——の神とするものである。家の奥の食料を蓄える場所の守護神であり、家族を養うものを守る。
ラレースが場所の守護神であるのに対し、ペナーテースは家族に属し、家族が移住すればともに移る。この区別は明確ではなく、古代の著述家自身が両者を混同することがあった。
公共のペナーテース
ペナーテース・プーブリキー(公共のペナーテース)はローマ市の守護神であり、ウェスタ神殿の奥に祀られたとされる。ウェリアの丘にも神殿があった。
伝承によれば、公共のペナーテースはアエネーアースがトロイアから持ち出した神々であり、ラウィーニウムを経てローマに至った。『アエネーイス』第2巻で、燃えるトロイアから父アンキーセースがペナーテースの像を抱えて逃れる場面は、この伝承の原点である。ローマの家の神が、トロイアから来たという物語である。
ラウィーニウムには公共のペナーテースの古い聖所があり、ローマの執政官と法務官は就任時にここで犠牲を捧げた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ガイウス・スルピキウス・ガルバのデナリウス銀貨である。ペナーテースの二つの頭部が並んで描かれる。
貨幣に描かれるペナーテースは、月桂冠を戴いた若い二人の頭部として表される。カストルとポルックスと同一視する説もあり、双子の像として造形されたことによる。
食料庫の神という位置が、この神格を規定する。家の奥、食物のある場所——生存の基盤を守る神。
関わる神格・伝承
ラレース、ゲニウス、ウェスタとともに家の神々をなす。アエネーアースがトロイアから持ち出した。
文化的足跡
「ラレースとペナーテース」は、英語で家庭と家財を指す慣用句である。「ペナーテース」単独でも、故郷や家庭の守護を意味する文語として用いられる。