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ニサバ
PLATE — 𒀭𒉀
SVMER · メソポタミア神話
𒀭𒉀

ニサバ

ニダバ · ニッサバ · ナニブガル

Osama Shukir Muhammed Amin FRCP(Glasg) CC BY-SA 4.0

穀物と書記を司るシュメールの女神。文字に記された最古の神格のひとつで、シュメール語文学の多くが「ニサバに讃えあれ」の一句で結ばれる。

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解説

概要

ニサバ(𒀭𒉀 Nisaba)は、穀物と書記を司るメソポタミアの女神である。文字に記された神格としては最も古い部類に属し、長くにわたって重んじられた。書記たちの守護神であり、シュメール語で書かれた作品の多くが「ニサバに讃えあれ」の一句で結ばれるのは、この神への奉献の定型である。

名の綴りに用いられる NAGA の符号は、植物、おそらくは大麦の束を象ったものと解される。同じ符号は、この女神の本拠である都市エレシュの名にも用いられた。もともと穀物の神格であって、文字の発明ののちに書字と結びついたと考えるのが一般的だが、シュメール語文書では書字との関係のほうが前面に出る。

P・ミハウォフスキはニサバの領分を「穀物と、最も広い意味での書記の術——書字・会計・測量を含む」と要約する。読み書きと計算の女神が女性であることを異例とする指摘もあったが、E・ロブソンの調査によれば、シュメール文学において読み書きする神格は男神より女神のほうがむしろ多く、これは異例ではない。

神話・物語

ニサバを主人公とする神話は乏しいが、『エンリルとスド』では要となる役どころを与えられている。妻を求めるエンリルは、エレシュの街で娘スドに求婚して拒まれ、従神ヌスカを立てて母ニサバと交渉させる。ヌスカが贈り物を並べ立て、ニサバはその応対に満足して婚姻を承諾し、自ら「エンリルの姑となろう」と宣する。約束の品が届くと娘を祝福し、スドは婚礼を経てニンリルの名を得る。母娘の近さが繰り返し語られる作品である。

知恵の女神として、ニサバは王に知恵を授けるとされた。書記が自らの技を人に教える資格もまた、この女神から与えられると考えられていた。

図像と象徴

初期王朝時代からアッカド時代の美術に見える「植物の神格」の像のいくつかを、ニサバとみる説がある。本項に掲げるのは、南メソポタミア出土、前2430年ごろの緑泥石製の壺の断片で、襞飾りの衣と有角の冠を着け、長い髪を垂らした女神を刻む。肩からは棍棒ないし武器が生え、右手には棗の房を持つ。ラガシュの王エンテメナの名が銘文に見える。ニサバの表現とされることが多いが、銘文はこの女神の名を挙げておらず、同定は推定にとどまる。バウとみる説もある。

系譜と関係

夫はハイア。印章の神とみられる神格で、位は高くない。娘は、シュルッパクの都市神スドであり、のちにエンリルの妻ニンリルと完全に融合した。

ニサバ自身の出自は一本に定まらない。エンリルの長女とも、その姑とも、双子の姉妹とも伝えられる。母は通例ウラシュとされ、前1千年紀のカルフの文書は父をエアとする。従神はウンガサガとハムン=アナ。

シリアやアナトリアでは、表語文字 dNISABA が別の神格の名を表記するのに用いられた。ハラブではダガン、フルリの文書ではクマルビ、ヒッタイトでは穀物女神ハルキである。ダガンの名がウガリットで「穀物」と同音であったことに由来する書記の言葉遊びとみられ、性格の類似を意味しない。

文化的足跡

ニサバの地位を奪ったのは、書記の神ナブーである。J・M・アッシャー=グリーヴはこれを、メソポタミアの歴史において「女神から男神へ権能が移された最も顕著な例」と呼んだ。ただし交替は一気に起こったのではない。古バビロニア期のナブー信仰は中部メソポタミアに限られており、後期青銅器時代のウガリットやエマルでは両神が併存して、写字生たちは自らを「ナブーとニサバの僕」と署名している。

エレシュの衰退とともに、この女神の祭祀はニップルへ移されたとみられる。それでも完全に姿を消したわけではなく、新アッシリアのカルフに伝わる祈祷は、なおこの女神を「知恵の女王」と呼んでいる。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1088417 — 骨格データの出典
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Nisaba — 図像カテゴリ