バウ
ババ · バブ · Bau
ラガシュの主要な女神で、生命を与える神から癒しの女神へと職能を広げた。夫はニンギルス、のちキシュではザババ。犬を象徴とし、グラ・ニンイシナ・ニンカラックと並ぶ癒しの女神群をなす。神殿経済が国家の中枢にあった。
解説
概要
バウ(Bau、ババ、バブとも)は、メソポタミアの女神である。その名の読みは研究者のあいだで議論の対象だが、今日ではバウが慣例的な綴りとされる。
当初は単に生命を与える神格——場合によっては人類の創造と結びつけられた——とみなされたが、前三千年紀から二千年紀の過程で、癒しの女神の役割も獲得した。神的な助産婦と記されえた。
祭祀
ラガシュとギルスの資料では、バウの夫はニンギルスであった。その子には、イガリム、シュルシャガといった神格がいる。
ラガシュ国家においてバウは主要な女神であり、その神殿エウルクグは広大な所領を持ち、王妃が女祭司を務めた。ウルカギナの改革文書は、この神殿の経済が国家の中枢にあったことを示す。
古バビロニア期にキシュに導入されたのち、バウはザババの妻とみなされるようになった。都市の主神が交替すると、その配偶女神も交替する。
癒しの女神群
バウは、グラ、ニンイシナ、ニンカラックと並ぶメソポタミアの癒しの女神群の一柱である。これらの女神は徐々に習合し、後代にはグラの名で総称されるようになった。
犬がその象徴である。癒しの女神に共通する象徴であり、犬が傷を舐めることの観察に基づくとされる。イシンのグラ神殿からは、多数の犬の埋葬が発掘されている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、バウを表す石碑の断片である(新シュメール期、ルーヴル美術館蔵 AO4572)。
生命を与える者から癒す者への職能の移行が、この女神を規定する。産む力と治す力が、同じ女神に配される。
関わる神格・伝承
夫はニンギルス(ラガシュ)またはザババ(キシュ)。グラ、ニンイシナ、ニンカラックと習合。
文化的足跡
ラガシュのバウ神殿の経済文書は、シュメールの神殿経済を知る最も重要な資料群の一つである。