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PLATE — 𒉆𒋻
SVMER · メソポタミア神話
𒉆𒋻

ナムタル

ナムタル · Namtaru · ナムタルー

「運命」を名とするメソポタミアの冥界の神。エレシュキガルのスックルを務め、同時に頭痛と心痛をもたらす病の霊とされた。

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解説

概要

ナムタル(𒉆𒋻)は、シュメール語で「運命」を意味する語をそのまま名とする存在である。名の前に神を示す限定符ディンギルが置かれる点で、普通名詞としての「運命」と書き分けられた。ヤコブ・クラインは、その名のとおり彼が避けがたい運命、すなわち暗に死そのものの人格化として理解されていたとみる。アイシャ・ラフムーニは、ウガリトの文書で死を人格化したモートの役どころと比較している。

彼の役割は二つある。一つは冥界の女王エレシュキガルのスックル(従神)、もう一つは病をもたらす霊としての働きで、とりわけ頭痛と心痛に結びつけられた。二つの側面は互いに絡み合っているが、どちらが先かは判断できない。バルバラ・ベックは、もとは病の霊にすぎなかったものが前2千年紀のいずれかの時点でエレシュキガルの従神へ発展したと考える。

供物一覧に彼の名はほとんど現れず、実際の祭祀はなかったとみられる。ただし『ギルガメシュの死』『ウル・ナンムの死』では、主人公が彼に供物を捧げる場面が語られる。

登場する物語

「ネルガルとエレシュキガル」では、天へ上れない女王の代理として神々の宴に列席する。居並ぶ神々が敬意を示すなか、ネルガルだけが立って迎えなかったことが、彼を冥界へ召し出せという女王の要求につながる。のちネルガルが女王の眠るあいだに逃げ出すと、ナムタルは再び天へ遣わされて彼を連れ戻す。

『イシュタルの冥界下り』では、エレシュキガルの命により、妹イシュタルに六十の病を放つ。のちには彼女を蘇らせ、身代わりを探すため地上へ導く役も担う。同じ筋を語る先行のシュメール語詩『イナンナの冥界下り』に彼の名はなく、イナンナは神々の裁きによって死ぬ。役どころが版を追って加えられたことがうかがえる。

アトラ・ハシース叙事詩では、人間の騒がしさに悩んだエンリルが、最初に彼を用いて人口を減らそうとする。「エンキとニンマー」では、人間の創造を祝う宴に招かれた神の一人として名が挙がる。

図像と象徴

ナムタルを描いたと同定できる図像は知られていない。呪文はその姿を「ねじれた手」「毒に満ちた口」といった語で恐ろしげに述べ、『アッシリア王子の冥界幻視』は剣で人を斬る姿として描く。いずれも文字による描写であり、造形として残された例は確認されていない。当サイトが本項目に主画像を置かないのはこのためである。

系譜と関係

エレシュキガルのスックル。ネルガルのスックルと呼ばれる例もあり、単に「冥界のスックル」と記されることもある。アン=アヌム神名表によれば妻はフシュビシャグで、「冥界の家政婦」と呼ばれた。娘はヘディンメクとされるが、同じ神名表の別の箇所ではエンキの娘とも記される。母はマルドゥラアンキ。ウトゥク・フルの呪文一件のみが、彼をエンリルとエレシュキガルの子とする。

病の霊としては、しばしばアサグと対で呪文に現れ、二者は最も危険な病の原因とみなされた。逆に彼のほうが他の霊を抑える側に回ることもあり、「あらゆる悪」を人格化したミンマ・レムヌを冥界に閉じ込めておく役を託す呪文が残る。医薬の女神ニンイシンナやアサルルヒが、彼の影響を打ち消す存在として呼ばれた。

文化的足跡

避けがたい運命という抽象が、そのまま神の名になっている点にこの存在の特徴がある。死を擬人化する発想は各地に見られるが、ナムタルの場合、運命・死・病という三つの層が一つの名のもとで重なっており、抽象概念の人格化がどのように進むかを見るうえで参照されてきた。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q920319 — 骨格データの出典