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PLATE — 𒀭𒇉
SVMER · メソポタミア神話
𒀭𒇉

ナンム

ナンマ · Namma · ナムナム

エリドゥの神学で創造神とされた原初の女神。エンキの母であり、古バビロニア期以降は天アンと地キを産んだ母、原初の水の体現とされた。

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解説

概要

ナンム(𒀭𒇉、表語文字 ENGUR)は、エリドゥの地方神学で創造神とされたメソポタミアの女神である。ナンマとも読まれ、ナムナムのような重複形も語彙表に見える。名は慣例として「創造する女」と訳されるが、この解釈は女神ニンインマの名との語源的な関係を前提とするもので、広く受け入れられているわけではない。「宇宙の川の貴婦人」と解する説もあり、いずれも決め手を欠く。古代の書記自身は nig2-nam-ma、すなわち「すべて」「創造性」と結びつけて説明した。

彼女は水と関わる存在とみられているが、それが真水か塩水かについては議論がある。マヌエル・チェッカレッリは地下水を表した可能性を示し、ヤン・リスマンは原初の海の体現とみて、その性格はティアマトからの影響によるものと考える。名を記す記号 ENGUR はアプスーの同義語としても読まれるが、この用法と女神の名は同一ではなく、ナンムはむしろエングルを造った者と呼ばれた。原初の存在は活動を終えたものとみなされることが多いなかで、彼女は呪文のなかで働き続ける神として呼びかけられた点でも異例である。

祭祀の痕跡は乏しい。ウルクの王ルガル・キサルシが「アンの妻ナンムのために」神殿を建てたと記す碑文があり、ウルの古バビロニア期の文書には神殿と神官の存在が見える。彼女の名を負う人名はごくまれで、長らくウル・ナンム王の名が唯一の例と考えられてきた。

神話・物語

彼女が主役に近い位置を占めるのは「エンキとニンマー」である。下位の神々の労苦を訴える声を聞いた母ナンムは、深き淵に眠るエンキを揺り起こし、神々に代わって働く者を造るよう求める。エンキの指示のもと、ニンマーと七柱の出産女神が粘土から人を形づくった。人間創造の神話はアトラ・ハシース叙事詩など複数伝わるが、母神の背後にさらに原初の女神を置く構図はこの作品に固有であり、エリドゥの伝統を反映するとみられる。

古バビロニア期以降、彼女は天アンと地を産んだ母、すなわち宇宙の起点に置かれるようになった。「天と地を産みし母」「すべての神々を産みし最初の母」といった称辞がこれを示す。呪文の分野では、清めや聖別のため、あるいは悪霊・病・蠍に対して唱えられる文言のなかに、エンキ、アサルルヒ、ナンシェらとともに名が現れる。

図像と象徴

ナンムを描いたと確実に同定できる図像は知られていない。一般向けの書物には、ウルやウバイドから出土する蛇の頭をもつ女性像を彼女とする記述が見えるが、これらはウバイド期の造形であって、特定の神格に結びつける根拠を欠く。彼女を伝えるのは、もっぱら表語文字 ENGUR と、呪文や神名表に残る称辞である。

系譜と関係

エンキの母とされ、「エンキとニンマー」、アン=アヌム神名表、対訳の呪文がこれを裏づける。ただしエンキをアヌの子の一人とする伝承のほうがはるかに広く行われており、ナンムを単独の親とする記述は多くない。ルガル・キサルシの碑文はアンの妻と呼ぶが、この伝統を示す資料はほかになく、ウィルフレッド・G・ランバートは彼女に定まった配偶神はなかったと結論している。ユリア・アシャー=グレーヴェは、創造神として語られる文脈での彼女を無性の存在とみなしうるとし、ヨアン・グッドニック・ヴェステンホルツはその創造を単為生殖に近いものと想定した。

一件の解説文書は彼女をアプスーと等置し、男神として、またナンシェの配偶神として扱う。ただしこれはエヌマ・エリシュに依拠した後代の再解釈とみられ、独立した伝承を示すものではない。ティアマトの役どころとの近さがしばしば指摘されるが、チェッカレッリは両者を密接に結ぶ証拠はないとし、ナンムが敵対者として描かれた例は知られていない。

文化的足跡

ウル第三王朝を開いたウル・ナンムの名は、彼女への帰依を示す数少ない例である。シーランド王朝期のクドゥル碑文は彼女の神殿の存在を伝え、イシン第二王朝の時代まで用いられていたことを示す。ニップルのエクルとバビロンのエサギルには、「ナンムの足跡」を意味する名の祠が置かれた。祭祀の規模は終始小さかったが、原初の水から世界が生まれるという構図そのものは、後代の創造神話へ受け継がれている。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q520188 — 骨格データの出典