ナーガラージャ
ナーガラージャ · 竜王 · 八大竜王
インドの蛇神ナーガの諸王。仏教では難陀・跋難陀・娑伽羅・和修吉ら八大竜王として取り入れられた。仏陀を七日守ったムチャリンダが名高い。中国の竜王の観念の原型。
解説
概要
ナーガラージャ(Nāgarāja)は、インド神話における蛇神ナーガの諸王である。
仏教では八大竜王をはじめさまざまな竜神として取り入れられた。難陀(ナンダ)、跋難陀(ウパナンダ)、娑伽羅(サーガラ)、和修吉(ヴァースキ)、徳叉迦(タクシャカ)、阿那婆達多(アナヴァタプタ)、摩那斯(マナスヴィン)、優鉢羅(ウトゥパラカ)といった八大竜王はナーガラージャである。
有名なナーガラージャたち
カドゥルーは、千の偉大なナーガの王たちを生んだナーガラージャの祖である。ダクシャの娘の一人で、カシュヤパ仙の妻である。
ムチャリンダは、仏陀の上で七日も仏陀の屋根の代わりとなったという。七日後、帰依したという。
アパラーラは、仏陀に従う金剛夜叉によって調伏されたという。
これらナーガラージャの説話は中国へ仏教とともに伝わり、中国古来の竜伝承と習合して、四海竜王などの中国の竜王の観念にも影響を与えた。中国の竜王は神獣としての竜が人格化したもので、海神や水神である。
東南アジアでは、ムチャリンダに守られる仏陀の像がクメール美術の主要な主題となった。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ナーガの図である。
人面蛇身、あるいは頭上に蛇の頭を戴く人の姿で表される。七頭の蛇の頭巾を背にする姿は、東南アジアで定型化した。
王という位置が、この存在を規定する。ナーガは種族であり、ナーガラージャはその王たちである。仏教はナーガを八部衆に、その王たちを八大竜王に配した。
関わる神格・伝承
ナーガの王。八大竜王。中国の竜王の原型。
摩睺羅伽が大蛇の神格化であるのに対し、ナーガはコブラの神格化である。頭巾を広げるコブラの姿が、七頭の蛇の造形に対応する。
文化的足跡
『法華経』提婆達多品の竜女成仏——娑伽羅竜王の八歳の娘が成仏する——は、女性の成仏を説く典拠として日本の仏教で重視された。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。