摩睺羅伽
マホーラガ · 大蟒神 · 大腹胸行
八部衆の一で「偉大な蛇」を意味する。ナーガがコブラの神格化であるのに対し、ニシキヘビのような大蛇の神格化。蛇頭人身で楽器を持ち、緊那羅とともに帝釈天の楽神とされる。
解説
概要
摩睺羅伽(まごらが、Skt: Mahoraga の音写、漢訳:大腹胸行、大蟒、大蟒神)は、仏教を守護する護法善神の一尊。天竜八部衆や二十八部衆に数えられる。
サンスクリット語名の「マホーラガ」は「偉大な蛇」を意味する。他の八部衆と同じく固有名詞ではなく、無数の摩睺羅伽衆の総称である。
性格
大腹胸行という漢訳名は、大きな胸や腹で進んで行くという意味であり、蛇を神格化したものであることに由来すると考えられる。ナーガがコブラを神格化したものであるのに対して、このマホーラガはニシキヘビのような蛇を神格化したものである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、『観音経絵解』所収の観音と摩睺羅伽の図である。
胎蔵図像には蛇頭人身で笛や太鼓や鼓を持つ五尊の摩睺羅伽が描かれている。現図胎蔵界曼荼羅図には北に三尊の人面の摩睺羅伽衆が配され、中尊は両手を胸に当てて左膝を立て、左尊は蛇冠を戴き右を向き、右尊は両手で笛を吹く姿に描かれている。
奈良・興福寺の八部衆においては、畢婆迦羅が摩睺羅伽に相当する尊格としてその代わりに入っているが、像の形状から、上半身から頭部にかけて蛇を纏う沙羯羅像が摩睺羅伽像なのではないかという指摘もある。
蛇の神でありながら音楽の神でもあるという点が特徴的である。八部衆のうち、乾闥婆・緊那羅・摩睺羅伽の三つが音楽に関わる。
関わる神格・伝承
八部衆の一。緊那羅とともに帝釈天の楽神。
ナーガ(竜)とは別の蛇の神格であり、コブラと大蛇という種の違いが、二つの神格の分岐に対応する。
文化的足跡
『法華経』観世音菩薩普門品において、観音が摩睺羅伽の姿に変じて法を説くとされる三十三身の一つに数えられる。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。