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ヘルマプロディートス
PLATE — ἙΡΜΑΦΡΌΔΙΤΟΣ
HELLAS · ギリシア神話
ἙΡΜΑΦΡΌΔΙΤΟΣ

ヘルマプロディートス

ヘルマプロディトス · ヘルマフロディトス · アトランティアデース

ヘルマプロディートス像(前3世紀、ペルガモン出土、イスタンブール考古学博物館蔵 MA 363/Mendel 624、高さ1.865m)/撮影: Ismoon, CC BY-SA 4.0 CC BY-SA 4.0

アプロディーテーとヘルメースの子。男女両性の身体を持つとされ、婚姻を象徴する小さな愛の神格。サルマキスとの融合譚はオウィディウスによる後代の物語である。

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解説

概要

ヘルマプロディートス(Ἑρμαφρόδιτος)は、ギリシアの宗教と神話におけるアプロディーテーヘルメースの子である。

男女両性の身体を持つとされ、両性具有と婚姻を象徴する小さな愛の神格にあたる。ヘルメースの母マイアがアトラースの娘であることから、アトランティアデース(「アトラースの裔」)とも呼ばれる。

神話・物語

淡水のニュンペー、サルマキスと結びつけられる。伝えによって、乳母とも妻とも、あるいは意に反して迫った者とも語られる。

ローマの詩人オウィディウス『変身物語』の版が最もよく知られる。カリアのサルマキスの泉のほとりで、この美しい少年が水浴していたところ、泉のニュンペーが恋に落ちた。拒まれた彼女は少年に組みつき、永遠に一つになれるよう神々に祈る。祈りは聞き届けられ、二人の身体は融け合って、男でも女でもある——同時に両方である——一つの存在になった。

ただしこの物語は後代のものであり、古典期のギリシア神話には現れない。オウィディウスの創作、あるいはヘレニズム期の伝承を彼が採ったものと考えられている。

名の由来には二説ある。両親の名の合成とするもの、そしてヘルメースを表す石柱ヘルマ(herm)とアプロディーテーの合成とするものである。後者の場合も父への言及であることに変わりはないが、父の名ではなく父の彫刻表現を経由していることになる。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、前3世紀のペルガモン出土の大理石像である(イスタンブール考古学博物館蔵、高さ1.865メートル)。

ギリシア・ローマ美術では、女性の姿でありながら男性器を備えた像として表された。最も有名な作例は「眠るヘルマプロディートス」の型で、うつ伏せに眠る姿を背後から見ると女性に見え、正面へ回ると男性器が現れる。ローマ期に多くの模刻が作られ、ルーヴル美術館とローマ国立博物館の作例が知られる。見る位置によって認識が変わるという仕掛けが、この主題の造形を貫いている。

小さな愛の神格として、この神は性愛を表す。他の小さな愛の神格が、恋に落ちること、切望、欲望、婚礼といった相補的な観念を担うのに対し、ヘルマプロディートスが担うのは婚姻という制度そのものである。サルマキスを妻とする版では、二人は世界で最初の婚姻を表すとされる——ゼウスとヘーラーを最初の婚姻とする通説とは食い違うが、男性と女性の性質を一身に体現することによって、男と女が一つに結ばれることを象徴したと解される。

関わる神格・伝承

父はヘルメース、母はアプロディーテー。サルマキスと結びつけられる。

エロース、エロースをはじめとする小さな愛の神格(エローテス)の一員に数えられることもある。

文化的足跡

英語のハーマフロダイト(hermaphrodite)という語は、この神名に女性語尾を付した異形ヘルマプロディーテーに由来する。

古代ギリシア人は、抽象的な事象を神格として人格化する思考(ヒュポスタシス)に慣れていたため、両性の特徴を併せ持つ実在の人を指すのにも神の名を用いた。このことは研究者にとって問題を生む。古代の記述が、実在の人について語っているのか、それを表す神について語っているのかを見分けるのが難しい場合があるためである。

なお現代の医学と人権の文脈において、この語を人に用いることは避けられている。性分化の多様性を指す用語としてはインターセックスが用いられ、旧来の語は当事者への配慮を欠くものとして退けられた。本項が扱うのは、あくまで古代の神格である。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q204146 — 骨格データの出典
Commons
Hermaphroditus — 図像カテゴリ