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ポボス
PLATE — ΦΌΒΟΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΦΌΒΟΣ

ポボス

ポボス · フォボス · ポーボス

アッティカ黒絵式アンフォラ(前530年頃、ウルチ出土、ミュンヘン国立古代美術博物館蔵)/リュシッピデースの画家の手法による PUBLIC DOMAIN

恐怖と恐慌を司るギリシアの神。アレースとアプロディーテーの子で、デイモスの兄弟。スパルタには祠があり、恐怖は国家を結束させる力として敬われた。

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解説

概要

ポボス(Φόβος、「敗走」「恐慌」)は、ギリシア神話で恐怖と恐慌を司る神であり、その擬人化である。

アレースアプロディーテーの子で、デイモスの兄弟にあたる。父の従者という役割を離れて、神話上の大きな役を持つことはない。

古典期のギリシア神話において、この神は戦がもたらす恐怖の神であり、同時にその恐怖そのものである。

神話・物語

ヘーシオドス『神統記』では、アレースとアプロディーテーの子であり、デイモスとハルモニアーの兄弟とされる。主として父の助手として現れ、戦場に混乱をもたらす。

イーリアス』では、不和の女神エリスと弟デイモスとともに父に付き従って戦場へ赴く。ヘーシオドス『ヘーラクレースの盾』では、ポボスとデイモスがアレースに随行し、ヘーラクレースに傷つけられた父を戦場から運び去る。ノンノス『ディオニュシアカ』では、ゼウスがテューポーンを怯えさせるためにポボスに稲妻を、デイモスに雷を持たせた。同じ作品の後段では、二人はアレースの御者としてディオニューソスと戦う。

アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』では、七人の戦士が黒い盾の上で牡牛を屠り、その血に手を触れて、アレースとエニューオーと「敗走」——すなわちポボス——にかけて誓いを立てる。ステーシコロスによれば、アレースの子キュクノスは、通りかかった異邦人の首を刎ね、その頭蓋でポボスの神殿を建てようとしたという。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、アッティカ黒絵式アンフォラの一面である(前530年頃、ウルチ出土、ミュンヘン国立古代美術博物館蔵)。ギガントマキアーの場面で、戦車に乗るアレースの傍らに人物が描かれる。ただしこの人物をヘルメースと見るかポボスと見るかは決着しておらず、コモンズの記載も両説を併記する。掲げるにあたって、この留保を明示しておく。

ヘーシオドスは『ヘーラクレースの盾』でこの神をこう描く——後ろを振り返り、その目は火のように燃えていた。口は白い歯の列で満たされ、恐ろしく、人を怯えさせた。

図像ではしばしば獅子の頭、あるいは獅子めいた頭を持つ姿で表される。パウサニアース『ギリシア案内記』にも「アガメムノーンの盾の上にはポボスがおり、その頭は獅子のものである」とある。盾に恐怖の顔を描くという実用が、そのまま神格の図像になっている。

関わる神格・伝承

父はアレース、母はアプロディーテー。兄弟はデイモスとハルモニアー。

祭祀の記録がある点は見逃せない。プルタルコスはスパルタにポボスの祠があったと記し、死(タナトス)と笑い(ゲロース)に捧げられた祠と並べている。スパルタ人は、恐怖を国家を結束させる肯定的な力として敬っていたのだという。パウサニアースも、この神殿がスパルタの外に位置したことを記録した。

恐怖を祀るという発想は、現代の目には奇異に映る。しかし戦士の共同体において、恐怖は敵に与えるものであると同時に、規律を保つ力でもあった。

文化的足跡

1877年、アメリカの天文学者アサフ・ホールが火星の二つの衛星を発見し、ポボスとデイモスと名づけた。軍神マールスに従う二人の子という関係が、そのまま惑星と衛星の関係に置かれている。

フォビア(phobia、恐怖症)という語も、この神の名と同じ語に発する。神格の名が医学用語になった例として、しばしば引かれる。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q105019 — 骨格データの出典
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Phobos — 図像カテゴリ