テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
フリッグの侍女たち
PLATE — ÁSYNJUR
NORÐR · 北欧神話
ÁSYNJUR

フリッグの侍女たち

フリーン · ロヴン · シェヴン

Carl Emil Doepler PUBLIC DOMAIN

スノッリ『エッダ』が列挙するフリッグに仕える女神たちのうち、名と一行の説明のみが伝わる七柱——フリーン・ロヴン・シェヴン・スノトラ・シュン・ヴァール・ヴォル。詩の言い換えから神格が推定された可能性が指摘される。

01

解説

概要

13世紀のアイスランドでスノッリ・ストゥルルソンが著した『エッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」には、女神フリッグに仕える、あるいはアース神族の女神に数えられる女神たちが並べて挙げられている。そのなかには、ほかの資料にほとんど現れず、名と一行の説明しか伝わらない女神が何柱もいる。本項は、個別の記事を立てるほどの伝承が残っていないそうした女神たちを、まとめて扱う。

なお本サイトの分類では、北欧神話の体系に含めて扱う。群記事とする。

女神たち

フリーンは、フリッグが危険から守ろうとする人を保護する女神で、「フリーンに守られる」は危険を逃れることを意味するという。『巫女の予言』にも名が現れるが、そこではフリッグ自身の別名とする解釈もある。ロヴンは、穏やかで優しく、オーディンとフリッグの許しを得て、禁じられた結婚をも取り持つ女神で、名は「許し」「慰める者」を意味するとされる。シェヴンは、人の心を愛へと向ける女神である。スノトラは、賢く節度のある女神で、賢い人を「スノトル」と呼ぶのはこの名によるという。シュンは、広間の扉を守って入るべきでない者を締め出し、また裁きの場で否認の証人となる女神で、名は「否認」を意味する。ヴァールは、男女が交わす誓いを聞き届け、それを破る者を罰する誓いの女神である。ヴォルは、何ごとも隠しおおせない、慎重で探究心の強い女神である。

詩の言い回しから生まれた女神か

これらの女神は、いずれも抽象的な観念の名を持ち、その観念が女神として置かれている。スノッリが、古い詩の婉曲な言い回し(ケニング)から、女神の一覧を組み立て直した可能性が指摘されている。たとえば詩に「ヴァールの誓い」のような表現があれば、そこから女神ヴァールがいたとスノッリが推し量った、という順序である。詩の言い回しが、神を生んだことになる。一方で、これらの名は古い信仰の断片を伝えているとする説もある。ヴァールやシュンには、裁きの手続きにかかわる具体的な働きがあり、詩の言い回しを広げただけのものとは考えにくいからである。ラトビアのマーテの女神たちにも、同じ問題がある。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、カール・エーミール・デープラーが1882年に描いた《フリッグとその侍女たち》である。右の女性は、フリッグが使いに出すグナーとみられる。

関わる神格・伝承

フリッグに仕える女神たちであり、同じ章にはエイル、サガ、ゲフィオン、フッラ、グナーも挙げられている。

文化的足跡

これらの名は、今日もスカンディナヴィアで女性の名として用いられている。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q1254651 — 骨格データの出典