サガ
サガ · サーガ · Sága
オーディンと日ごとソックヴァベックで黄金の杯から飲む女神。『グリームニルの言葉』の一節にのみ現れ、それ以外の伝承がない。フリッグの別名とする説が有力。文学形式の「サガ」とは語源が異なるとされる。
解説
概要
北欧神話において、サガ(Sága、おそらく「見る女」の意)は、ソックヴァベック(「沈んだ岸」「沈んだ席」あるいは「宝の岸」)という場所に結びつけられた女神である。
ソックヴァベックにおいて、サガと神オーディンは、冷たい波が流れるなかで楽しく酒を飲む。サガとソックヴァベックはともに『古エッダ』と『新エッダ』に確認される。
記述
『グリームニルの言葉』第七節は次のように記す。
「ソックヴァベックは第四の館、冷たい波がその上を打つ。そこでオーディンとサガは、日ごと喜ばしく黄金の杯から飲む」
『新エッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」は、フリッグに次ぐ第二の女神としてサガを挙げ、ソックヴァベックに住むと記す。
これ以外に、この女神についての記述はない。
解釈
フリッグ説。 サガをフリッグの別名とする説が有力である。オーディンと日ごと飲むという記述は、妻にふさわしい。またフリッグの館フェンサリル(「沼の広間」)とソックヴァベック(「沈んだ岸」)は、いずれも水に関わる名である。
語源。 名は動詞シャー(「見る」)に由来し「見る女」を意味するとする説と、セーギャ(「言う」)に由来し「語る女」を意味するとする説がある。
後者に従えば、サガは物語を語る女神であり、散文文学の「サガ」の語と結びつく。ただし言語学的には、両者の語源は異なるとされる。「サガ」(物語)はセーギャに、女神サーガは別の語根に由来する可能性が高い。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、《オーディンとサガ》の図である。
一つの詩節にのみ現れる女神という点が、この神格を規定する。オーディンと酒を飲む場面だけが伝わり、それ以外は何も分からない。
北欧神話の女神には、こうした断片的な存在が多い。スノッリの一覧に名が挙がりながら、伝承がほとんど残らない。
関わる神格・伝承
オーディンと飲む。フリッグの別名とする説がある。館はソックヴァベック。
文化的足跡
スウェーデン語・アイスランド語の女性名サーガは、この女神の名に由来する。日本語の「サガ」(物語)は、この女神ではなく古ノルド語のサガ(言われたこと)に由来する。