サガ
サーガ · Sága · Saga
オーディンと日ごとセックヴァベックで黄金の杯から飲む女神。『グリームニルの言葉』の一節と、スノッリの女神の一覧にのみ現れる。フリッグの別名とする説が有力。文学形式の「サガ」とは語源が異なるとされる。
解説
概要
北欧神話において、サガ(Sága、おそらく「見る女」の意)は、セックヴァベック(「沈んだ岸」「沈んだ席」あるいは「宝の岸」)という場所に結びつけられた女神である。
セックヴァベックにおいて、サガと神オーディンは、冷たい波が流れるなかで楽しく酒を飲む。サガとセックヴァベックはともに『古エッダ』と『スノッリのエッダ』に確認される。
記述
『グリームニルの言葉』第七節は次のように記す。
「セックヴァベックは第四の館、冷たい波がその上を打つ。そこでオーディンとサガは、日ごと喜ばしく黄金の杯から飲む」
『スノッリのエッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」は、フリッグに次ぐ第二の女神としてサガを挙げ、セックヴァベックに住むと記す。
これ以外に、この女神についての記述はない。
解釈
サガをフリッグの別名とする説が有力である。サガがオーディンと毎日酒を酌み交わすという記述は、オーディンの妻にふさわしい。また、フリッグの館フェンサリル(「沼の広間」)と、サガの館セックヴァベック(「沈んだ岸」)は、どちらも水にかかわる名である。
サガの名は、「見る」を意味する動詞に由来し「見る女性」を意味するとする説と、「語る」を意味する動詞に由来し「語る女性」を意味するとする説がある。後者に従えば、サガは物語を語る女神であり、散文の文学を指す「サガ」の語と結びつくことになる。ただし言語学的には、両者は語源が異なるとされる。物語を意味する「サガ」は「語る」に由来するが、女神の名は、別の語根に由来する可能性が高い。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、フレードリク・サンデル版『エッダ』(1893年)の挿絵《オーディンとサガ》である。
詩のなかではオーディンと酒を飲む場面だけが伝わり、それ以外は分からない。
北欧神話の女神には、こうした断片的な存在が多い。スノッリの一覧に名が挙がりながら、伝承がほとんど残らない。
関わる神格・伝承
オーディンと飲む。フリッグの別名とする説がある。館はセックヴァベック。
文化的足跡
スウェーデン語・アイスランド語の女性名サーガは、この女神の名に由来する。日本語の「サガ」(物語)は、この女神ではなく古ノルド語のサガ(言われたこと)に由来する。