ホルスの四人の息子
イムセティ · ハピ · ドゥアムトエフ
ミイラ作りで取り出した内臓を守る四柱の神で、ホルスの子とされる。イムセティ(人の頭・肝臓)、ハピ(ヒヒ・肺)、ドゥアムトエフ(山犬・胃)、ケベフセヌエフ(隼・腸)。カノプス壺の蓋の形で知られ、ラメセス2世の時代に頭の描き分けが定型となった。
解説
概要
ホルスの四人の息子は、イムセティ、ハピ、ドゥアムトエフ、ケベフセヌエフの四柱からなる神の一群である。古代エジプトの葬送で、ミイラ作りの際に取り出した内臓を守る役を負い、その姿は内臓を納めるカノプス壺の蓋としてよく知られる。
神話・物語
四神の名は、古王国末の『ピラミッド・テキスト』にすでに現れる。呪文541は四神をホルスの子らとし、呪文688では王が天へ昇るための梯子を固め、呪文338では王を飢えと渇きから守る。
肝臓をイムセティ、肺をハピ、胃をドゥアムトエフ、腸をケベフセヌエフが受け持つのが通例だが、ハピが胃を、ドゥアムトエフが肺を守る例もあり、どの神がどの臓器を守るかを定めた文書はない。守護する女神は、ふつうイムセティがイシス、ハピがネフティス、ドゥアムトエフがネイト、ケベフセヌエフがセルケトである。中王国の棺では、頭の側にイムセティとハピ、足の側にドゥアムトエフとケベフセヌエフが置かれた。新王国の棺には、イムセティを南、ハピを北、ドゥアムトエフを東、ケベフセヌエフを西の側面に配するものがある。
第20王朝になると、ミイラ職人は四神の蝋の小像を遺体の内部に納めるようになり、防腐処理した内臓は包んで遺体の中へ戻されるようになった。それでも、空の、あるいは形だけのカノプス壺が副葬され続けた。
図像と象徴
カノプス壺の蓋が頭の形に作られるようになったのは第1中間期の終わりで、初めは隼の頭の例もあったが、中王国では人の頭がふつうになった。第18王朝には、イムセティは人、ハピはヒヒ、ドゥアムトエフは山犬、ケベフセヌエフは隼と頭を描き分けた壺が現れ、前13世紀のラメセス2世の時代にこの形が定型となった。『死者の書』125章の挿絵では、オシリスの玉座の前の蓮の花の上に、小さな四体が立つ。本サイトが掲げるのは、四神を描いた現代の線画である。
系譜と関係
ホルスの子とされる。『コフィン・テキスト』の一節は、母をイシス、父を大ホルスとする。四神のひとりハピは、ナイルの増水の神ハピとは綴りも出自も異なる別の神である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。