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エラトー
PLATE — ἘΡΑΤΏ
HELLAS · ギリシア神話
ἘΡΑΤΏ

エラトー

エラト · Erato

Jastrow (2006) PUBLIC DOMAIN

恋愛詩を司るムーサで、名は「愛される女」を意味し、愛の神エロースと同じ語根に由来する。竪琴を持つ姿で表され、ルネサンス以降の絵画では薔薇の冠を戴く姿でも描かれた。

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解説

概要

エラトー(Ἐρατώ / Eratō)は、恋愛詩を司るムーサである。名は「愛される」「望ましい」を意味し、エロースと同じ語根に由来する。ディオドーロスの解釈では、彼女に学んだ者が人に望まれ、愛されるに値する者となるからである。

神話・物語

固有の逸話は少ない。エピダウロスのアスクレーピオス神域で出土した石碑に刻まれたイシュロスの讃歌(前4〜3世紀)は、ゼウスが彼女をマレアの名祖マロスに嫁がせたと歌う。二人の娘クレオペメーはプレギュアースに嫁ぎ、その娘アイグレー、別名コローニスがアポローンとの間にアスクレーピオスを生む。医神の系譜をムーサに結びつける、この地方に固有の伝えである。

なお、パウサニアース(8.37.11)が伝える、アルカスの妻となりパーンの神託の預言者を務めたエラトーは、同名のニンフであってムーサとは別である。

彼女が最もよく現れるのは、詩人が呼びかける場面である。ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』第3巻は、メーデイアの恋がイアーソーンの帰還をどう助けたかを語るにあたって冒頭で彼女を呼び、その名を愛(エロース)に掛けている。叙事詩の全体を司るカリオペーではなく、恋を扱う巻に限って別のムーサを呼ぶという構成は、九柱の分業が実作のなかで機能している数少ない例にあたる。ストラボン(8.3.20)が引く、ステーシコロスに帰される詩『ラディネー』も、彼女への呼びかけで始まっていた。

ウェルギリウス『アエネーイス』第7巻でも、物語がラティウムでの戦いに転じる場面で彼女が呼ばれている。恋愛詩の女神が戦いの巻に呼ばれる理由については古代から議論があり、ラウィーニアとの婚姻をめぐる戦いであることによるとみる読みがある。オウィディウス『祭暦』第4巻では、4月がウェヌスの月であることから、愛にちなむ名をもつ彼女が語り手に選ばれ、キュベレーの祭の由来を語る。

図像と象徴

持物は竪琴である。古代の作例ではキタラまたはリュラーを抱え、しばしばエロースが傍らに添えられる。ルネサンス以降の絵画では、ミルテと薔薇の冠を戴き、ときに黄金の矢を手にし、松明を持つエロースを伴う姿が定型となった。

本ページの主画像は、後2世紀前半のローマの《ムーサの石棺》(ルーヴル美術館 Ma475)に彫られた彼女である。

系譜と関係

父ゼウス、母ムネーモシュネー。九柱の一。イシュロスの讃歌ではマロスとの子クレオペメーを通じてアスクレーピオスの曾祖母となる。

文化的足跡

プラトン『パイドロス』(259)は、蝉が死後にムーサたちのもとへ行き、恋する者たちのことをエラトーに報告すると語る。恋愛と彼女を結びつける見方は古典期にすでにあり、近世以降の詩集や絵画はこれを受け継いだ。小惑星(62)エラトもこの名を負う。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

フル系図ページを開く →
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資料

Wikidata
Q104413 — 骨格データの出典
Commons
Erato — 図像カテゴリ