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ドモヴォーイ
PLATE — ДОМОВОЙ
SLAVI · スラヴ神話
ДОМОВОЙ

ドモヴォーイ

ドモヴォイ · ドモヴィーク · ダマヴィーク

Ivan Bilibin PUBLIC DOMAIN

スラヴの家の精。竈の裏や床下に住み、家事と家畜の世話をし、一族に迫る吉凶を先んじて知らせる。多くの土地では死んだ先祖そのものと考えられ、引っ越しには熾火とともに連れて行かれた。

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解説

概要

ドモヴォーイ(Домово́й / Domovoy)は、スラヴ諸民族に広く伝わる家の精である。スラヴ神話の神々の名がわずかな断片としてしか残らなかったのに対し、この家の精は19世紀の農村で生きたまま採集され、いまも名が通じている。名は「家」を意味する語根 dom に由来し、そのまま「家のもの」を意味する。ウクライナではドモヴィーク、ベラルーシではダマヴィーク、南スラヴではストパンなどと呼ばれる。

呼び名の多さがこの存在の性格を語っている。住む場所によって「竈裏のもの」「床下のもの」、家のなかでの地位によって「主人」「おじいさん」「兄弟」、はたらきによって「養い手」「舐めるもの」、そして邪なものの一員として「悪しきもの」「家の悪魔」。真名を呼ぶことは避けられ、ただ「あの人」「彼」と言われる土地も多かった。

登場する物語

多くの土地で、ドモヴォーイは死んだ家族そのものと考えられていた。一族の最初の祖、あるいは最後に死んだ者、あるいは懺悔せずに死んだ男。キリスト教の側からは、天で反乱を起こして地へ落とされた者たちのうち、家のなかに落ちたのがドモヴォーイだとも説明された。家の周りに落ちたのがドヴォロヴォイ、バーンニクオヴィンニクであり、自然のなかに落ちたのがレーシーヴォジャノーイである、と。落ちた場所が、そのまま持ち場になっている。

彼は働く。竈の火を絶やさず、家を片づけ、穀物を乾かし、水を汲み、家畜の世話をする。気に入った馬にはたてがみと尾を梳いて赤いリボンを編み込むが、気に入らない馬は夜どおし乗り回し、朝には汗まみれで疲れ果てている。だから農民は、自分の家のドモヴォーイが好む毛色の馬や牛を選んで買った。

そしてこの精霊は、先に知る。家の者が死ぬ前には唸り、足を踏み鳴らし、戸を叩き、眠る者の体に痣を残す。家長が死ぬ前にはその帽子をかぶって現れる。火事の前には窓を叩く。笑い声が聞こえたなら、幸いが来る。大事の前には眠る者の胸に乗るとされ、そのとき「吉か凶か」と問えば答えが返る。黙ったままか咳をしたなら、凶である。

怒らせてはならない。機嫌を損ねたドモヴォーイは物を隠し、床下や屋根裏で音を立て、糸を絡ませ、寝ている者の掛け物を剝ぐ。畜舎や中庭で言い争ってはならず、女は髪をほどいたまま外へ出てはならず、彼の好む場所に物を置いてはならない。

図像と象徴

姿は、その家の主人にそっくりだとされた。生きている主人か、死んだ先祖かの姿である。ただし人ならぬ徴がいくつか添う。突き立った長い耳、主人の髪と同じ色の毛に覆われた体、長い爪。毛深いほどその家は富み、貧しい家のドモヴォーイは裸だという。黒い装いで現れたら、それは凶事の前触れである。蛇、イタチ、猫、雄鶏、鼠にも姿を変える。西スラヴでは、家の主人の魂が蛇となって敷居の下に住み、幸をもたらすと語られた。目に見える像として描かれたのは近代に入ってからで、イヴァン・ビリービンが1934年に描いた小柄な老人の姿がよく知られる。本ページの図版もそれである。

象徴の焦点は竈と敷居にある。住み処は竈の裏、床下、赤い隅、そして敷居のあたり——いずれも家の内と外を分ける場所である。引っ越しのときには、古い竈の熾火を新しい竈へ運び、「わが主よ、共に来たれ」と呼んだ。新居では最初に切ったパンの一片を隅に埋め、もう一度呼ぶ。翌朝そのパンに歯形があれば、来たのである。連れずに越せば、残された家にも新しい家にも不幸が続くとされた。

関わる伝承

同じ屋敷を分けあう精霊たちがいる。中庭のドヴォロヴォイ、乾燥小屋のオヴィンニク、畜舎のフレヴニク、そして蒸し風呂の主。母屋から遠ざかるほど性格は険しくなり、最も危険なのが浴場の主である。女性形はドモヴィーハ、ドマニャーなどと呼ばれ、良い主婦の家事を助け、不精な主婦には料理に雑草の種を投げ込んで報いた。北ロシアには、子どもや家畜の毛を舐めるリズーン、壁に影として現れるパステーニ、眠る者にのしかかるグニェートカなど、はたらきごとに分かれた名も伝わる。

家に憑く精霊という発想は各地にある。イングランドのブラウニー、北欧のニッセ、ドイツのコーボルト。いずれも家事を助け、供物を求め、粗略に扱えば去る。ドモヴォーイがそれらと違うのは、多くの場合それが赤の他人ではなく、その家の死者だと考えられていた点である。家を守っているのは、かつてその家に住んでいた者である。

文化的足跡

この信仰は、教会に禁じられながら生き延びた。異教の層とキリスト教の層が並び立つ二重信仰のありようは、暦の上にはっきり出ている。教会暦の聖エフレム・シリンの日(ユリウス暦1月28日、現行暦2月10日)は民俗暦では「ドモヴォーイの名の日」とされ、この夜は竈に粥と牛乳を供えて機嫌をとった。19世紀の民俗学者たちが地方ごとの作法と禁忌を書きとめ、それが今日の像の土台になっている。

現代のロシアで、この精霊はほとんど親しみの対象である。1984年に始まったアニメ『ドモヴョーノク・クージャ』の小さな家の精は国民的な人気を得た。他方、2018年にカリーニングラードの橋と博物館へ「ホムリン」と呼ばれる小さな家の精の像が置かれたとき、地元の大主教が「異教と原始的なスラヴ民族主義への逆行だ」と抗議する一幕もあった。千年を経てなお、この小さな精霊は完全には飼い慣らされていない。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1657782 — 骨格データの出典