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レーシー
PLATE — ЛЕШИЙ
SLAVI · スラヴ神話
ЛЕШИЙ

レーシー

レーシイ · リャスーン · リソヴィーク

Viktor Vasnetsov PUBLIC DOMAIN

東スラヴの森の主。木にも獣にも人にも姿を変え、影を持たず、風とともに現れる。人を迷わせ、猟師や牧人とは契約を結ぶ。秋の一日に地へ沈み、雪解けとともに戻るとされた。

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解説

概要

レーシー(Ле́ший / Leshy)は、東スラヴの森の主である。名は「森の」を意味する形容詞に由来する。ベラルーシではリャスーン、ウクライナではリソヴィークと呼ばれる。スラヴ神話不浄なる力のなかで、家の精ドモヴォーイと並んで最もよく語られてきた存在である。

呼び名はロシア語だけで百を超える。真名を口にすることが避けられ、「森の主」「おじいさん」「おじさん」といった丁寧な、あるいは親族めいた言い方が用いられた。危険な霊を身内として遇すれば害を加えないという考え方である。「レーシー」という語そのものは、信仰が衰えたのちに都市の側から広まった、いささか不作法な呼び方であった。

登場する物語

レーシーの伝えは、ほとんどがブィリチカ——実際に出会ったという体裁の短い語り——として残る。語の初出は17世紀の呪文文書、姿の記述は18世紀にさかのぼるが、まとまった採集は19世紀末以降であり、古い層と新しい層が分かちがたく混ざっている。

最も多く語られるのは、道に迷わされる話である。知り合いの姿で少し先を歩き、追いつかせないまま人を森の奥へ引き込む。呪縛を解くには、衣服を裏返しに着直せばよい。祈りでも、あるいは口汚い罵りでも追い払えるという。森で人や家畜が消えるのもこの霊のしわざとされ、腹立ちまぎれに「レーシーのところへ行け」と口走ることが、そのまま連れ去りの口実になると恐れられた。

一方で、レーシーは公正な主でもあった。理由なく害することはないが、森での不作法は罰する。猟の獲物も家畜の放牧も彼の裁量にあり、猟師と牧人は贈り物を捧げて契約を結んだ。牧人は放牧の初日に群れのまわりを三度めぐる。聖像を掲げる「祝福された」やり方ではなく、山鳴の切株に腰かけて森の主と直に取り決めを交わす「恐ろしい」やり方を選ぶ者も多かった。

暦のなかにも彼の日がある。九月十四日(現行暦二十七日)には、レーシーたちが森じゅうの獣を一箇所に追い集め、それを賭けてカルタを打つ。この日、農民は森に入らない。十月四日(同十七日)には彼らは森を離れて地の下へ沈む。別れを惜しんで荒れ狂い、風を起こし、木を折り、獣を巣穴へ追い散らす。この日に森へ入れば正気を失うという。戻ってくるのは、雪が解けはじめる頃である。

図像と象徴

姿は定まらない。木そのものであることもあれば、切株や苔や茸であることもある。人の形をとるときは、枝のような緑の乱れ髪、地衣類の髭、苔に覆われた樹皮のような肌をもつ。巨人にも小人にもなり、背丈を自在に変える。着物を着ていれば人と変わらないが、影がない。強い風を連れて現れ、あるいは風そのものとして現れる。

森の音はすべて彼のものとされた。梢の唸り、幹の軋み、葉の騒めき。夏に屋根を飛ばすほどの大風が吹けば、それはレーシーたちの賑やかな婚礼だと語られた。枝にぶら下がって揺れるのを好み、そこから「揺り籠のもの」という異名を得た土地もある。木の切株に腰かけて樹皮の靴を編んでいる、とも。

図像として描かれるのは近代に入ってからである。本ページに掲げたのは、ヴィクトル・ヴァスネツォフが1885年にオストロフスキーの戯曲『雪娘』の舞台のために描いた図案であり、民間の伝承そのものの記録ではない。

関わる伝承

場所ごとに主がいる、という世界像のなかで、レーシーは最も広い持ち場を受け持つ。家のなかはドモヴォーイ、蒸し風呂はバーンニク、水はヴォジャノーイ、そして森は彼である。堕天使が落ちた場所で持ち場が決まったという伝えでは、森や湖に落ちた者たちが最も人を警戒しているとされる。レーシーは水の主や野の霊と争い、樹木や大岩を武器に同族と戦うとも語られた。

森が減れば信仰も薄れた。森林地帯では強く語られたこの霊は、草原地帯へ行くほど像を崩し、やがて消える。信仰の分布が植生の分布に沿っていたことになる。

文化的足跡

19世紀末から20世紀初頭にかけて、レーシーは信仰の対象から物語の登場人物へと移っていった。オストロフスキーの『雪娘』とリムスキー=コルサコフの同名の歌劇に姿を見せ、革命前のロシアには『レーシー』という名の風刺雑誌まであった。チェーホフが1889年に書いた戯曲『森の精』は、のちに『ワーニャ伯父さん』に書き改められている。

現代のロシアでは、森で道に迷ったとき「レーシーに回された」と言う言い回しが残る。信じているかどうかとは別に、森が人を惑わせるという感覚だけは言葉のなかに生き続けている。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1056876 — 骨格データの出典