准胝観音
じゅんでいかんのん · 准胝仏母 · 七倶胝仏母
真言系では六観音の一、天台系とインド・チベットでは仏母とされる女尊。一面三目十八臂で二竜王が座を支える。源流をヒンドゥーの女神チャンディーに比定する説がある。
解説
概要
准胝観音は、仏教における信仰対象である菩薩の一尊。準胝観音または準提観音とも書く。准胝仏母とも。
日本の真言系では変化観音とされて「六観音」の一尊に数えられ、日本の天台系では観音ではなく仏母とされる。インド・チベットでは一般に仏母とされ、変化観音とはみなされない。インドでは観音は男性名詞のため男尊とされるが、准胝は女性名詞であり、女尊として表現される。
准胝は五守護女尊や摩利支天と同様に、特定の陀羅尼と結びついた女尊である。密教においては七倶胝仏母とも呼ばれる。密号は最勝金剛、降伏金剛。
梵名と由来
准胝はチュンダーを音写したとする説、チュンディーを音写したものとする説がある。漢名の准胝はチュンダー陀羅尼における「チュンデー」という語(チュンダーの女性単数呼格)の音写であるという説もある。
准胝の源流をヒンドゥー教の女神チャンディー——ドゥルガーの一相——に比定する説がある。ヒンドゥー教の憤怒の女神が、仏教では慈悲の仏母として受容された。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、『仏像図彙』(1783年、土佐秀信)所収の准胝観音図である。
一面三目十八臂の姿で表される。十八臂は、准胝陀羅尼の十八の功徳を表すとされる。中央の二手は説法印を結び、他の手に剣、念珠、宝瓶、蓮華、経篋などを持つ。二匹の竜王が蓮華座を支える。
観音か仏母か——宗派によって位置づけが異なるという点が、この尊格を規定する。真言宗では六観音に数え、天台宗では観音の代わりに不空羂索観音を六観音に入れ、准胝は仏母とする。同じ尊格が、宗派の体系のなかで別の場所に置かれている。
関わる神格・伝承
真言系では六観音の一。十一面観音、如意輪観音、馬頭観音と並ぶ。仏母としては摩利支天、五守護女尊と同列。
文化的足跡
京都・醍醐寺の上醍醐准胝堂は、西国三十三所観音霊場の第十一番であり、准胝観音を本尊とする唯一の札所である。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。