アミュコス
アミュコス王 · Amycus · Amykos
ベブリュケス人の暴虐な王。異邦人に拳闘を強いて殺し続けたが、アルゴナウタイのポリュデウケースに技で敗れて殺された。同名のケンタウロスもいる。
解説
概要
アミュコス(Ἄμυκος)は、ギリシア神話の人物の名である。主として二人が知られる。
同名の人物たち
ポセイドーンの子。 ビーテューニア地方のベブリュケス人の王である。ポセイドーンとニュンペーのメリアーの子で、ミュグドーンと兄弟。
暴虐な王であった。支配地を訪れる異邦人に対し、自分と拳闘の試合をしないうちは立ち去ることを許さず、こうして多くの者を殺した。
アルゴナウタイがビーテューニアに立ち寄ったとき、アミュコスは一行の素性も旅の目的も問わず、拳闘を挑んだ。これに応じたのがディオスクーロイの一人ポリュデウケースである。ポリュデウケースは巨漢の王を技で翻弄し、耳の上を打って殺した。王の部下たちが襲いかかったが、アルゴナウタイはこれを撃退した。
テオクリトス『牧歌』第22歌は、この拳闘の場面を詳しく描く。ポリュデウケースの技巧が王の力を制する様子が、対比として語られる。
ケンタウロスの一人。 ラピテース族の王ペイリトオスの婚礼に出席したケンタウロスの一人で、オピーオーンの子。オウィディウス『変身物語』によれば、ラピテース族との戦いのなかで燭台を振り上げてケラドーンを殺したが、ペラテースに楓の卓の脚で打ち殺された。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ただし拳闘の場面は古代の壺絵にしばしば描かれ、ローマ期のモザイクにも残る。
力と技の対比が、第一のアミュコスの物語の要である。巨大な力で異邦人を殺し続けた王が、拳闘の技を持つ者に敗れる。
関わる神格・伝承
第一の父はポセイドーン、討ち手はポリュデウケース。
客人を強制的な試合で殺すという型は、ケルキュオーン(レスリング)やアンタイオスと同じである。いずれも英雄によって同じ手段で殺される。
文化的足跡
日本語圏では、アルゴナウタイの冒険の一挿話として言及される程度である。しかしポリュデウケースが拳闘の守護神とされるのは、この勝利によるところが大きい。