スケイローン
スキーローン · スケイロン · Sciron
メガラの海岸の崖に陣取り、旅人に足を洗わせて海へ蹴落とし海亀の餌にした盗賊。テーセウスに同じ方法で殺された。エンデーイスの父でペーレウスの外祖父にあたる。
解説
概要
スケイローン(Σκείρων、スキーローンとも)は、ギリシア神話の人物である。
コリントス人で、ペロプスあるいはポセイドーンの子。あるいはメガラ王ピュラースの子で、アテーナイ王パンディーオーンの娘と結婚した。あるいはピッテウスの娘ヘーニオケーとカネートスの子で、テーセウスの従兄弟。
サラミース王キュクレウスの娘カリクローとのあいだにエンデーイスをもうけた。エンデーイスはアイギーナ王アイアコスの妻で、テラモーンとペーレウスの母である。
神話・物語
傲慢な盗賊であった。メガラの海岸にあるスケイローン岩に陣取り、旅人に無理やり自分の足を洗わせ、洗っている最中に海へ投げ込んで、岩の下の海中に棲む大きな海亀の餌にした。
しかしテーセウスはアテーナイへ向かう途中、スケイローンの足をつかんで海に投げ込み、殺した。この岩の近くは、スケイローンの死後もその殺人行為によって忌まわしい場所とされた。
一説には、スケイローンは盗賊ではなく、メガラ人が正当な王としていた人物であり、テーセウスに殺されたのは別の理由によるという。メガラ側の伝承では、スケイローンの骨は海と大地のいずれにも受け入れられず、岩に変わったとされる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ただしテーセウスの功業を描いた壺絵には、崖から投げ落とされる場面がしばしば現れる。
足を洗わせるという細部が特徴的である。客人の足を洗うのは歓待の作法であり、それを主人が客に強いて、隙をついて殺す。歓待の反転が、この悪人の手口になっている。
メガラの伝承がアテーナイの伝承と食い違う点も見逃せない。アテーナイの英雄が退治した悪人が、メガラでは正当な王である。神話が都市の立場によって語り分けられている。
関わる神格・伝承
娘はエンデーイス、孫はテラモーンとペーレウス。討ち手はテーセウス。
エンデーイスの母をカリクローとする点で、カリクローの項と接続する。
文化的足跡
「スケイローンの岩」と呼ばれる崖道は、コリントスとメガラのあいだに実在し、古代から難所として知られた。日本語圏では、テーセウスの功業の一つとして紹介される。