趙公明
ちょうこうめい · 玄壇真君 · 趙元帥
黒面で黒虎に跨り金鞭を持つ道教の神。もと疫病を司る瘟神であったが、『封神演義』で截教最強の神仙として描かれ、戦後に財を司る神に封じられて以降、中華圏で最も広く祀られる武財神となった。
解説
概要
趙公明(ちょうこうめい)は道教の神である。黒面で黒虎に跨り金鞭を持つ姿で知られ、現在では元帥神・財神としてのイメージで有名である。
来歴の古い神で、古くは疫病を司る瘟神として扱われており、六朝時代の道教経典『真誥』や志怪小説集『捜神記』でその性質が見られる。
疫病から財へ
『捜神記』5巻には、病を患い死期の迫った王祐という人物のもとに男が現れる話が収録されている。王祐は男から得度簿——冥土入りの人物の名を記した帳簿——の係を勧められたが、男が幽鬼だと察した王祐はこれを断る。
残される老母の世話を見る者がいないことを理由としたため、その孝行心に感動した男は、彼の病が治るよう祈祷をし、赤い筆を渡して去ったという。
初期の趙公明は、疫病をもたらし、また人の寿命を管理する冥界の官である。
疫病の神が財の神になるという転換が、この神を規定する。疫病を避けることと財を得ることは、いずれも現世の幸福に関わる。祈る内容が変われば、同じ神の職能も変わる。
封神演義
『封神演義』の世界では、三仙姑(雲霄・碧霄・瓊霄)の兄として登場し、截教における最強の神仙の一人である。
闡教の姜子牙、崑崙十二仙、燃灯道人をも圧倒する強さを発揮し、殷周大戦のなかでその名を轟かせた。最後は呪術(釘頭七箭書)によって倒される。
戦後、姜子牙によって「金龍如意正一龍虎玄壇真君」に封じられ、財を司る神となった。この設定が、今日の財神としての地位を決定づけた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、『三教捜神大全』の趙公明の図である。
黒虎に跨り、金鞭を持ち、元宝(銀塊)を伴う姿で表される。黒い顔が特徴である。
関わる神格・伝承
武財神の筆頭。三仙姑の兄。もと瘟神。
文化的足跡
中華圏の商店に最も広く祀られる財神である。台湾・香港・東南アジアの華人社会で、今日も厚い信仰を受ける。
なお中国の民間信仰と道教は今日も継承されている生きた信仰であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。