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バネブジェデト
PLATE — BꜢ-NB-ḎDT
AEGYPTVS · エジプト神話
BꜢ-NB-ḎDT

バネブジェデト

バネブジェド · バネブジェテト · メンデスの牡羊

PharaohCrab, CC0 CC0

メンデスで祀られたエジプトの牡羊神。四つの牡羊頭で表され、オシリスのバーとされた。ホルスとセトの裁定を求められながら、自ら裁かず他の神に委ねた神である。

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解説

概要

バネブジェデト(bꜣ-nb-ḏdt、「ジェデトの主のバー」)は、エジプト神話の牡羊の神である。祭祀の中心は下エジプトのメンデス(エジプト名ジェデト)にあった。上エジプトで同じ位置を占めるのはクヌムである。

エジプト語では「牡羊」と「魂(バー)」が同じ音であった。このため牡羊の神格は、しばしば他の神の顕現として理解される。この神の名そのものが「バー」を含んでいることに、その事情がよく表れている。

神話・物語

最もよく知られるのは、ホルスセトの争いを裁く場面である。新王国期の物語によれば、神々の法廷はこの神に判定を求めた。ところがバネブジェデトは自ら裁こうとせず、ネイトに委ねるべきだと提案する。外交的な引き延ばしである。争いが続くと、今度はセトのほうが年長なのだから王座を与えよと述べた。裁定者として呼ばれながら、判断を回避し続ける神という位置づけになっている。

『天の牝牛の書』は、「メンデスの牡羊」をオシリスのバーであると記す。ただしこの結びつきは排他的なものではなく、他の神のバーとしても扱われた。

ラメセウムの礼拝堂に立てられた石碑は、別種の役割を伝える。プタハがこの神の姿をとって——その生殖力を得るためである——ラムセス2世を身ごもることになる女性と交わった、と記されている。王の誕生を神格の顕現によって説明する定型のなかで、牡羊の神が力の供給源として選ばれている。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、エジプト学の慣行に沿って描かれた線図である。

この神は通常、四つの牡羊の頭を持つ姿で表される。太陽神の四つのバーを表すとされる形である。エジプトを最初に統治した四柱の神——オシリス、ゲブシュー、ラー=アトゥム——に対応するという読みもあり、メンデスの聖域にはこの四柱それぞれに花崗岩の大きな厨子が置かれていた。

牡羊という記号がエジプトで担うのは、生殖力と、そして「バー」という語の音である。クヌムが轆轤を回して人を形づくるのに対し、この神は生む力そのものとして働く。同じ牡羊でも、負う機能は異なっている。

系譜と関係

妻はハトメヒト(「魚たちの先頭に立つ者」)。メンデスの本来の神格はこの女神であった可能性がある。二柱の子が「幼子ホルス」であり、三柱で「メンデスの三柱神」と呼ばれる組をなす。

クヌムとは、上下エジプトの牡羊神として対応する関係にある。オシリスのバーとされる点では葬送の神格にも接続し、ラムセス2世の誕生譚ではプタハの化身として現れる。牡羊という一つの形をめぐって、複数の神格が出入りしている。

文化的足跡

メンデスの聖なる牡羊は、実際に飼われる獣として祀られた。ヘロドトスをはじめとするギリシアの著述家が、この町の牡羊崇拝について記録を残している。神像ではなく生きた獣を神の顕現とする祭祀は、アピスの牡牛と同じ系列に属する。

日本語圏でこの神が紹介されることはまれである。ホルスとセトの争いを語る物語は広く知られているが、そこで「ネイトに訊いてはどうか」と提案する牡羊の神の名まで挙げられることは少ない。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q790000 — 骨格データの出典
Commons
Banebdjedet — 図像カテゴリ