アンプト
アヌプト · アヌペト · インプト
アヌビスの女性の対応者で、名は男神の名に女性形の接尾辞を加えたもの。羽根の上に横たわる山犬の頭飾りをつけた女性として表される。上エジプト第十七ノモスの守護女神。娘は清めの水の女神ケベヘト。
解説
概要
アンプト(Anput)は、古代エジプトの宗教における女神である。夫アヌビス——エジプト人にはイネプウとして知られた——の女性の対応者として、アンプトの名は女性形の「t」接尾辞で終わる。
英語ではアヌプト、アヌペト、インプト、イネプウトなどとも表記される。
図像と職能
女性の姿で表され、羽根の上に横たわる山犬を示す頭飾りをつける。ハトホル、メンカウラー王、アンプトの三体像に見られるとおりである。ときに山犬の頭を持つ女性として描かれることもある。
上エジプト第十七ノモス(アヌビス・ノモス)の擬人化とされ、その地方の守護女神であった。ノモス(州)の名がそのまま女神の名になっている。
アヌビスと同じくミイラ化と墓地に関わり、死者を守る。娘はケベヘト——清めの水の女神——とされる。
男神の女性形という型
エジプトの神々には、男神の名に女性形の接尾辞を加えた対の女神が多い。アメンとアマウネト、ヌンとナウネト、フフとハウヘト、ケクとカウケトなどである。
アンプトもこの型に属する。独立した神話を持たず、夫の女性形として存在する。ローマのファウヌスとファウナと同じ構造である。
図像と象徴
固有の図像は存在するが、本サイトは主画像を掲げない。メンカウラー三体像(カイロ・エジプト博物館蔵)に表されたアンプトが、最も知られた作例である。
関わる神格・伝承
夫はアヌビス、娘はケベヘト。上エジプト第十七ノモスの女神。
アヌビスの母は伝えによってネフティス、あるいはヘサトとされる。アンプトはその妻である。
文化的足跡
メンカウラーの三体像は、古王国の彫刻の代表作として、エジプト美術史において繰り返し論じられる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。