ファウナ
ファウナ · ファトゥア · フェンタ・ファウナ
ローマの女神で、ファウヌスの妻・姉妹・娘とされる女性形の対応神。ボナ・デアと同一視され、女性だけの秘儀で祀られた。リンネが1746年の『スウェーデン動物誌』の題にこの名を用いたことで、「動物相」を意味する語になった。
解説
概要
ファウナ(Fauna)は、ローマの素朴な女神で、異なる古代資料においてファウヌスの妻、姉妹、あるいは娘とされる。ウァッローはファウヌスの女性の対応者とみなし、ファウニーはすべて予言の力を持つと述べた。ファトゥアあるいはフェンタ・ファウナとも呼ばれる。
名
名はラテン語ファウヌスの女性形である。ファウヌス自体はイタリック祖語 *fawe あるいは *fawono、究極的には印欧祖語 *bʰh₂u-n(「好意的な」)に遡ると一般に考えられる。それゆえジョルジュ・デュメジルはその名を「好意的な女」と訳した。
ミヒャエル・リプカは、ファウヌスとファウナを、同じ職能に男女の対を立てるローマの神々の傾向の例とみる。こうした対の二柱は同等ではなく、一方が他方を範として造られたとみられる。
ボナ・デアとの同一視
ファウナはしばしばボナ・デア——「善き女神」——と同一視される。マクロビウスによれば、ボナ・デアはファウヌスの娘ファウナであり、あまりに貞節で男の目に触れることがなかったため、女たちだけの秘儀で祀られたという。
ラクタンティウスの伝える別の話では、ファウナ(ファトゥア)はファウヌスの妻で、酒を飲んだために夫にミルテの枝で打たれて死んだ。以後ボナ・デアの儀礼では酒を「乳」と呼び、ミルテを禁じたとされる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
ファウヌスの妻・姉妹・娘。ボナ・デアと同一視される。
文化的足跡
「ファウナ」は近代の博物学において「動物相」を意味する語になった。リンネが1746年の著作『スウェーデン動物誌』の題にこの女神の名を用い、「フローラ」(植物相)と対にしたことによる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。