アクルーラ
シュヴァパルカの子 · クリシュナの叔父 · 宝珠の最後の持ち主
クリシュナの叔父にあたるヤーダヴァ。カンサの使者として兄弟をマトゥラーへ迎えに行き、宝珠が最後に留まった者でもある。
解説
概要
アクルーラ(Akrūra / अक्रूर)は、ヤーダヴァの一員でクリシュナの叔父にあたる。名は「残酷でない者」を意味する。カンサの命を受けてクリシュナとバララーマをマトゥラーへ迎えに行った使者であり、同時にクリシュナの熱心な信者として描かれる。シャマンタカ宝珠の事件の結末において、宝珠が最後に留まった者でもある。
神話・物語
『バーガヴァタ・プラーナ』第十巻が伝える。弓の祭を口実に兄弟をマトゥラーへ招こうとしたカンサは、彼を使者として遣わした。王命に従いながら、彼は主に会えることを喜んで道を急いだという。ヴラジへ着き、ヤムナー河で沐浴して水中に潜ったとき、そこにクリシュナとバララーマの姿を見た。水から顔を上げれば二人は岸にいる。再び潜れば水中にいる。この一段はアクルーラ・ガートの名で伝えられ、信者が神を見る経験の型として語られてきた。
兄弟を戦車に乗せて連れ去るとき、牛飼いの女たちが嘆いてその車輪にすがった場面も名高い。彼はやむなく王命を果たしたが、村を去る者の側の悲しみを引き受ける役どころに置かれている。
宝珠の事件では、別の顔を見せる。『マハーバーラタ』とプラーナの一部は、彼がクリタヴァルマンとともにシャタダンヴァンを唆し、サトラージトを殺して宝珠を奪わせたと伝える。シャタダンヴァンはクリシュナに討たれたが、宝珠はすでに彼の手に預けられていた。疑いを避けて出奔した彼が去ったのち、ドヴァーラカーには干魃と災厄が続いたため、呼び戻されて宝珠を差し出す。クリシュナはこれを彼の手に留めることを認めたと語られる。
信者でありながら宝珠に手を伸ばした者として、この人物には二つの面が併存している。
図像と象徴
固有の像容は伝わっておらず、独立した礼拝像の伝統もない。図像に現れるとすれば、ヤムナー河で水中に神を見る場面である。象徴となるのは水面であり、見上げても見下ろしても同じ姿がそこにあるという構図が、この人物の経験を示している。
系譜と関係
父はシュヴァパルカ、母はガーンディニー。ヴリシュニ族に属し、ヴァスデーヴァの兄弟にあたるとされることから、クリシュナの叔父と呼ばれる。妻はスガートリー。宝珠の事件を通じて、サトラージトやクリタヴァルマンとも関わりをもつ。
文化的足跡
ヴリンダーヴァンのアクルーラ・ガートは巡礼の地として知られ、彼が水中に神を見たとされる場所である。バクティの伝統において、この一段は「見る」という経験を主題とする挿話として重んじられてきた。
他方、宝珠をめぐる行いは彼の像に影を落とす。名が「残酷でない者」を意味しながら、殺害を唆した者として語られるという食い違いは、原典が登場人物を単一の性格に還元しないことの例として、しばしば取り上げられる。