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ズー
PLATE — 𒀭𒉎𒂂
SVMER · メソポタミア神話
𒀭𒉎𒂂

ズー

アンズー · イムドゥグド · Anzû

Rama CC BY-SA 3.0 FR

メソポタミア神話の巨大な怪鳥。獅子の頭をもつ鷲として表される。運命の書板を盗んでエンリルの主権を脅かし、ニヌルタに討たれた。

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解説

概要

ズー(Zu)は、メソポタミア神話に登場する巨大な怪鳥である。より古いシュメール語ではイムドゥグド、アッカド語ではアンズー(Anzû)と呼ばれ、現在ではアンズーの表記がより正確とされる。日本語では「ズー」の名が定着しているが、両形が併用される。楔形文字の綴りからはどちらの読みも成り立ちうるため、読み方をめぐる議論は決着していない。

嵐の雲と風を神格化したものと解され、獅子の頭をもつ鷲、あるいは巨大な鳥の姿で表された。生まれについては、アプスーの淡水から生じたとも、女神シリスの子ともいう。

登場する物語

中心となるのは『アンズー叙事詩』である。エンリルに仕えていたズーは、主神権の象徴である運命の書板を盗み出し、山の頂に隠れる。神々の秩序はこれによって停止する。アヌは書板を取り返す者を募るが、名指しされた神々は次々に尻込みする。

討伐者の名は伝本によって異なる。前2千年紀初頭の古バビロニア版はラガシュの神ニンギルスを英雄とし、前1千年紀の標準バビロニア版はニヌルタとする。後者では、ニヌルタの放つ矢が書板の力で押し戻されてしまうため、エア(エンキ)の助言に従って風で翼の羽根を吹き飛ばし、ようやく討ち取る。アッシュルバニパルの讃歌ではマルドゥクが討伐を命じられる。

一方、シュメール語の『ルガルバンダ』諸篇では立場が逆になる。英雄ルガルバンダが巣に残されたアンズーの雛を手厚くもてなし、戻ってきた親鳥から返礼に俊足を授かる。同じ怪鳥が、盗人にも庇護者にもなる。伝承は一本化されていない。

図像と象徴

獅子の頭をもち翼を広げた鷲、というのがイムドゥグドの定型である。両脚で二頭の鹿や獅子を掴む「動物の主」の構図で表されることが多い。主画像に掲げたルーヴル美術館蔵の銀製壺——ラガシュの王エンテメナがニンギルス神に奉献したもの、前24世紀頃——には、この構図が壺の胴をめぐって刻まれている。

エンリルの神殿エクルの門扉には、獅子を殺すイムドゥグドが彫られていたと讃歌は伝える。ラガシュではニンギルス神の標章として用いられ、神殿の破風を飾った。つまりこの鳥は、はじめから敵役であったわけではない。嵐そのものの力を表す神獣として神殿に掲げられていたのであり、書板を盗む物語は、その力に含まれる危うさを説く筋である。

ギリシアのグリフォンとの図像上の近さがしばしば指摘される。ただし鷲頭獅身のグリフォンと獅子頭鷲身のアンズーでは構成が逆であり、直接の系譜関係は証明されていない。

関わる神格・英雄

主人はエンリル。討伐者は伝本によりニンギルス、ニヌルタ、あるいはマルドゥク。助言者はエア。ルガルバンダ譚では庇護者として英雄を助ける。

トルキル・ヤコブセンは、アンズーを農耕神アブの初期の形態とみて、黒い雷雲を鷲の姿に、雷鳴を獅子の咆哮に重ねた造形と説明した。テル・アスマル出土の奉献像の台座にアンズー鳥が刻まれていることを、その傍証としている。

文化的足跡

19世紀末以降の発掘でイムドゥグドの浮彫が相次いで見つかり、シュメール美術を代表する意匠のひとつとなった。テル・アル・ウバイド出土の銅製破風飾り(大英博物館蔵)は、獅子頭の鷲が二頭の牡鹿をつかむ大型作例として名高い。

近代以降は「ズー」の名で紹介されることが多く、現代の創作でも怪鳥としてしばしば登場する。白亜紀北米の獣脚類恐竜アンズー(Anzu wyliei)も、この怪鳥にちなんで命名された。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q614747 — 骨格データの出典
Commons
Anzu — 図像カテゴリ