ウリエル
ウーリーエール · ウリイル · Uriel
名を「神の光」と訳す大天使。正典には現れず、外典『エノク書』でエノクを天へ導き、天体と気象を司る者として語られる。745年のローマ教会会議で名を退けられた経緯を持つ。
解説
概要
ウリエル(ヘブライ語 אוּרִיאֵל)の名は「神の光」あるいは「神の炎」と訳される。正典には現れず、伝承のほとんどはユダヤの神秘主義的文学と外典に属する。ミカエル・ガブリエル・ラファエルと合わせて「神の御前に立つ四人の天使」に数えられるが、四人のうちこの一人だけが、後に西方教会から公式に退けられた。一神教の伝承において、天使の名が増えるだけでなく削られもしたことを示す例である。
神話・物語
『エノク書』では、エノクを天へ引き上げて案内する。見張りの天使たちが地に降りて悪をなしたとき、神が遣わした四人の一人として、ノアに洪水の到来を告げる役を負った。同書はまた、ウリエルをタルタロスと世界を見守る者、天のすべての発光体と、地上の運行・気象・自然現象を司る者として語る。
『第四エズラ書』では、エズラが見た七つの幻視を解き明かし、神の正義について答えようのない三つの問いをエズラに突きつける。『アダムとイヴの生涯』では、焔の剣を持ってエデンの園の門を守る智天使の一人とされる。新約聖書外典『ペトロの黙示録』では懺悔の天使として現れ、最後の審判に黄泉の門を開く者となる。サリエルと同一の天使とみなす説もある。
図像と象徴
図像は多くない。定型は、書物と巻物を持つ姿——裁きと預言を解き明かす者としての職掌を示す——か、開いた掌に炎を灯した姿である。焔の剣を携える作例もあり、これはエデンの門を守る伝承に由来する。ミカエルやガブリエルが得たような揺るぎない図像の型を持てなかったこと自体が、この天使の置かれた立場を映している。
系譜と関係
745年のローマ教会会議において、ウリエルは教皇ザカリアスによって堕天使とされた。民間で過熱した天使崇敬を抑えるため、正典に名の現れるミカエル・ガブリエル・ラファエル以外の天使名を退ける措置であったと解される。天使の位階における位置も定まらず、大天使・熾天使・智天使のいずれともされてきた。ユダヤ教の伝承『ヨセフの祈り』では、ウリエルが地上に降りてヤコブと名乗ったと語られる。『創世記』でヤコブと格闘した天使をウリエルとみなす説があるのは、この伝承による。
文化的足跡
ミルトン『失楽園』(1667年)では熾天使として登場し、太陽の統治者と呼ばれる。近世の儀式魔術は四大天使を四方位と四元素に配当し、ウリエルには北と地の元素を割り当てた。グリモワールに連なるこの体系化は、教会が退けた名を別の経路で存続させた。ウリエルの像が今日も正教会系のイコンや近代の教会装飾に見られるのは、公式の判断と民間の崇敬が必ずしも一致しなかったことの証左である。