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リリス
PLATE — לִילִית
ABRAHAMICA · 一神教の伝承
לִילִית

リリス

リリト · リーリートゥ · Lilith

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ/ヘンリー・トレフリー・ダン《レディ・リリス》(1867年、水彩)/The Metropolitan Museum of Art, CC0 CC0

ユダヤの伝承で、男児を害すると信じられた夜の女妖。『イザヤ書』に一語現れるのみだったが、中世の『ベン・シラのアルファベット』でアダムの最初の妻とされ、近代には女性解放の象徴に読み替えられた。

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解説

概要

リリス(ヘブライ語 לִילִית)は、ユダヤの伝承において夜に現れ、新生児と産婦を害すると信じられた女性の悪霊である。名の由来には、夜を意味するヘブライ語ライラーに結びつける通俗語源説と、アッカド語の女性悪霊リーリートゥに求める説がある。後者は語根 LYL(夜)からの派生とする説明が一般的だが、リーリートゥの本来の性格を嵐の妖怪とみて、「夜」との結びつきを後代の民間語源とみなす研究者もいる。一神教の伝承のなかでも、像の輪郭が時代ごとに大きく描き替えられた例である。

神話・物語

旧約聖書での言及は『イザヤ書』34章14節の一箇所のみで、そこでのリリトは夜の妖怪とも、ある種の動物ともつかない。タルムードとミドラシュでは夜の妖怪として扱われる。

今日もっともよく知られる「アダムの最初の妻」という筋書きが現れるのは、ずっと後である。中世に成った『ベン・シラのアルファベット』において、リリスはアダムと同じ土から造られたがゆえに対等を主張し、争ってエデンを去る者として語られた。カバラ文献はこれを引き継ぎ、アダムとリリスの交わりから悪霊たちが生まれたとし、13世紀には悪霊の君主サマエルの伴侶と位置づけた。彼女が生んだ無数の悪霊はリリンと呼ばれる。この三層——聖書の一語、中世の説話、カバラの体系——は、成立した時代も担い手も異なる。

図像と象徴

古代の図像を確定することはできない。前1950年ごろのいわゆるバーニーの浮彫——鳥の鉤爪の脚を持ち、両脇に梟を従えた女性像——は、しばしばリリスと結びつけて紹介されてきたが、この同定の根拠は薄い。シュメール語版『ギルガメシュ叙事詩』序に見える女妖キシキル・リルラとの同一視を経た推測であり、別の女神を表したものとする見方が有力である。本ページが主画像に近代の作品を採るのは、この事情による。

翼を持ち鳥の鉤爪の脚をした裸の女性像が、二頭の獅子の上に立ち、左右に梟を従える素焼きの浮彫
いわゆるバーニーの浮彫(「夜の女王」、古バビロニア期、大英博物館)。リリスとする同定は根拠が薄く、イシュタルやエレシュキガルとみる説もあるAiwok / CC BY-SA 3.0 — Wikimedia Commons

近代の図像はまったく別の系統から来た。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《レディ・リリス》(1867年)は、鏡に向かって長い髪を梳く女性としてリリスを描く。ラファエル前派が造形したこの姿——危険な美しさをまとった女——が、以後の受容をほぼ決定した。

系譜と関係

メソポタミアのラマシュトゥとの関連が古くから論じられてきた。両者はいずれも産婦と新生児を襲う女性の悪霊であり、職能はよく重なる。ただし系譜が直接つながることを示す資料はなく、両者を同じ源を持つものとみなすことはできない。働きが似ていることは、同じ源を持つことの証拠にはならないのである。なおアッカド語のリリートゥは、アルダト・リリー、イドル・リリーと三幅対をなす存在として知られる。

文化的足跡

アダムと対等を主張して園を去ったという筋書きは、20世紀後半以降、まったく別の意味を帯びた。服従を拒んだ最初の女として読み直され、女性解放運動の象徴の一つとなっている。ただしこの読み替えは中世の説話それ自体に含まれていたものではなく、近代の解釈である。現代の小説、映画、卓上ゲーム、ビデオゲームでもこの名は頻繁に用いられるが、そこで参照されているのは多くの場合、聖書やタルムードではなく、19世紀以降に形づくられた像である。

なおユダヤ教・キリスト教・イスラームは今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその伝承と観念の歴史に関する学術的な整理である。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

収載データなし
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資料

Wikidata
Q180627 — 骨格データの出典