ウッダヴァ
デーヴァバーガの子 · ウッダヴァ・ギーターの受者
クリシュナの従兄弟にして相談役。牛飼いの村へ遣わされ、主が世を去る前に最後の教えを授けられた者として知られている。
解説
概要
ウッダヴァ(Uddhava / उद्धव)は、クリシュナの従兄弟にして友、そして相談役である。ヤーダヴァのデーヴァバーガの子。ブリハスパティに学んだ賢者とされ、政においても信仰においても主の傍らに立った。牛飼いの村へ遣わされて残された者たちを慰めた使者として、また主が世を去る前に最後の教えを授けられた者として知られる。
神話・物語
最も名高いのが、ヴラジへの使いである。クリシュナがマトゥラーへ去ったのち、村に残されたヤショーダーや牛飼いの女たちは嘆きに沈んでいた。主は彼を遣わし、形なき絶対者としての教えを説いて慰めるよう命じる。
だが村に着いた彼が説く哲学に、女たちは耳を貸さなかった。折しも花に群がる蜂を見た一人が、蜂に語りかける形で答える。花から花へ移る蜂よ、お前の主も同じことをしたのだと。この一段はブラマラ・ギーター(蜂の歌)と呼ばれ、知による道が情による道に及ばぬことを示す場面として、バクティの伝統において繰り返し引かれてきた。彼自身、村を去るとき、この地の塵となって女たちの足に踏まれたいと願ったと語られる。学識ある賢者が、学のない女たちの信愛に頭を垂れるという構図である。
もう一つが、最後の教えである。ヤーダヴァ族が同族争いによって滅び、主も世を去ろうとするとき、彼は自らも連れて行ってほしいと願った。クリシュナはこれを容れず、代わりに長い教えを授ける。『バーガヴァタ・プラーナ』第十一巻に収められたこの一群はウッダヴァ・ギーターと呼ばれ、『バガヴァッド・ギーター』と並ぶ教説として読まれてきた。ダッタートレーヤが語った二十四の師の話も、この巻に含まれる。教えを受けた彼は、命じられるままにバダリカーシュラマへ赴いて苦行に入ったとされる。
図像と象徴
固有の像容はほとんど伝わっていない。図像に現れるとすれば、牛飼いの女たちの前で語る場面か、主の教えを受ける場面である。象徴となるのは蜂であり、彼の説く言葉が届かなかったことの証として画面に置かれる。
系譜と関係
父はデーヴァバーガ、ヴァスデーヴァの兄弟の子にあたる。したがってクリシュナとは従兄弟の関係である。師はブリハスパティ。主の傍らにありながら、アルジュナのように戦場で並ぶのではなく、助言と使者の役を担った点で位置を異にする。
文化的足跡
ウッダヴァ・ギーターは、ヴィシュヌ派とりわけバーガヴァタの伝統において重視され、単独で註釈が書かれてきた。ブラマラ・ギーターは、知(ジュニャーナ)と信愛(バクティ)のいずれが優るかという議論の典拠として、中世以降の詩人たちに好んで取り上げられた。スールダースの『スール・サーガル』には、この場面を主題とする詩が数多く含まれる。
ヤーダヴァ族の滅亡を生き延びた数少ない一人であり、その事実そのものが、彼が担った役割を示している。武によってではなく言葉によって主に仕えた者だけが、最後の教えを受け取り、それを伝えるために残された。