トゥパ
トゥパ · トゥパー · トゥパン
トゥピ・グアラニーの雷と稲妻の神で、名は雷鳴の擬音に由来するとされる。至高の神ニャマンドゥ(ニャンデル)のもとで、世界の創造にかかわる神の一柱とされる。イエズス会の宣教師がキリスト教の神の訳語として採用したため、今日のグアラニー語で「トゥパ」は神を意味する。
解説
概要
トゥパは、南米のトゥピ・グアラニー系の人々の宗教における雷と稲妻の神で、世界の創造にかかわる最も高い神の一柱とされる。17世紀、パラグアイのイエズス会の宣教師たちがキリスト教の神の訳語にこの名を用いたため、今日のグアラニー語で「トゥパ」は神そのものを意味するようになった。その一方で、もとのトゥパがどのような神であったかは、かえって分かりにくくなっている。
なお本サイトの分類では、南米先住民の体系に含めて扱う。
雷の神
「トゥパ」の名は、雷鳴を表す音に由来するとする説がある。雷が鳴るとき、人々はその名を呼んだという。
創造にかかわる神
グアラニーの伝承のより古い層では、世界を創ったのは至高の神ニャンデルヴス(「我らの偉大な父」)やニャマンドゥとされる。トゥパは、その創造の働きを担う神として、月の女神アラスィとともに地上に降り、人や動物を創ったとされる。最初の人の男女ルパヴェとスィパヴェを創ったのもトゥパで、この二人から人類が生まれたという。
神の訳語になった名
17世紀、パラグアイのイエズス会の伝道村(レドゥクシオン)で、宣教師たちはキリスト教の神を表す語として「トゥパ」を用いるようになった。今日のグアラニー語でも、「トゥパ」は神を、「トゥパオ」は教会を意味する。雷の神の名が、一神教の神の名になったのである。イグボのチュクウや、東アフリカのムルングにも同じ経緯が見られる。その結果、もとのトゥパがどのような神だったのかを知ることは難しくなった。フィリピンのバタラが、宣教師に訳語として退けられたことでかえって土地の神の名として残ったのとは、対照的である。
資料について
グアラニーの宗教についての記録の多くは、イエズス会士によって書かれた。「至高の神」「創造」といった記述が、どこまでもとの観念を伝えているかを見極めるのは難しい。20世紀のクルト・ニムエンダジューやレオン・カドガンらの民族誌は、宣教師の記録とは異なるグアラニーの宇宙観を伝えている。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
月の女神アラスィと対をなし、太陽の神クアラシーや月の神ジャシとも関わる。七人の怪物の親タウとケラナの物語とは別の系統に属する。
文化的足跡
ブラジルのサンパウロ州には、トゥパの名を冠した市がある。
なお南米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。