チュクウ
チュクウ · チネケ · オリサ
ナイジェリアのイグボ人の至高神で、名は「偉大なチ(霊)」を意味する。すべての人が固有のチ=運命を持ち、人の意志がこれを動かすとされる。アロ・チュクウの神託は19世紀に奴隷貿易に関与し、1901年にイギリスが破壊した。
解説
概要
チュクウ(チネケ、オリサとしても知られる)は、ナイジェリア南部のイグボ人の伝統的な霊的体系オディナニにおける至高の存在である。
名はイグボ語のチ(霊的な存在、あるいは個人の霊)とウクウ(偉大な)の複合であり、「偉大な霊」あるいは「偉大なチ」を意味する。
チュクウは万物の源、宇宙とすべての生きるものの創造者であり、地上と霊の世界の双方における究極の権威である。イグボの万神殿における下位の霊的な力はすべて、その顕現として理解される。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
チの観念
イグボの信仰において、すべての人は固有のチ——個人の霊、あるいは運命——を持つ。
「チ」は人が生まれる前に神と交わした約束であり、その人の一生を定める。しかし人の行為によって、チとの関係は変わりうる。
イグボの諺「オヌ・クウェ、チ・エクウェ」(人が同意すれば、そのチも同意する)は、この観念を表す。運命は定められているが、人の意志がこれを動かす。
至高神チュクウの名が「偉大なチ」であることは、個人の霊と至高の霊が同じ語で表されることを示す。
祭祀
チュクウは至高神であるが、直接に祀られることは少ない。祭祀は下位のアルシ(神格)——アラ、アマディオハ、イケンガ——に向けられる。
アロ・チュクウ。 ただし例外がある。アロ・チュクウの神託所は、イグボ全域から人が訪れる大きな神託であった。
19世紀、この神託は奴隷貿易に深く関与した。神託の裁きで「チュクウに食われた」とされた者は、実際には奴隷として売られた。1901〜02年、イギリスがこの神託所を破壊した。
宗教制度が奴隷貿易の機構として機能したという、重い事実がここにある。
キリスト教との関係
19世紀の宣教師は、チュクウをキリスト教の神の訳語として採用した。イグボ語聖書において、神は「チュクウ」あるいは「チネケ」と訳される。
至高神の観念が既にあったため、翻訳が容易であった。同時に、その内実は大きく変わった。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。イグボにおいて、至高神を像に表すことはない。
関わる神格・伝承
アラ、アマディオハらアルシの源。個人のチと語を共有する。
文化的足跡
チヌア・アチェベ『崩れゆく絆』(1958年)は、イグボの伝統的な信仰とキリスト教の到来を描いた小説であり、チュクウとチの観念が主題の一つである。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。